AFC アサヒファミリークラブ

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「円山といえば」「カレーでしょう!」
球場のカレー、ファン多し。

 「円山球場の名物は何か」と野球好きの知り合いに尋ねたら、「それはカレーだろう」とのことだった。野球に関係することではなくカレーなのか、と思ったが、ひとまず食べに出かけてみることにした。

 食堂は、中央入り口のと券売所の近くにある。ちょっと見過ごしてしまいそうな入り口だ。店の名前も書いていないが、店内のメニューに書かれていた「円山グラウンド食堂」が正式名のようだ。いかにも大衆食堂という雰囲気だが、中に入ると冷房が心地よく効いていて、カレーを食べるにはちょうどいい。券売機でチケットを購入。カレーライス600円、である。客席からは厨房がよく見渡せて、女性ばかり4名ほどが忙しく立ち回っている。そば、うどん、ラーメンもあるが、観察するとカレーを注文するお客さんが多いようだ。

 食堂は滝本食品という会社が経営している。円山グラウンド食堂の調理責任者は奈良悦子さん。ここで働き、30年になるという。よく出るメニューは「何たってカレーなんだよね〜」とのこと。毎日仕込み、多い日には500食以上が出るという。

円山グラウンド食堂、看板は控え目だが、やっぱりカレーがいちばんの売りのようだ。
円山グラウンド食堂、看板は控え目だが、やっぱりカレーがいちばんの売りのようだ。

「プレミアムプレス」(紙版)からの続きはここからです。

 男爵イモ、豚肉、タマネギ、ニンジンが具材だ。男爵いもが煮崩れし、カレーに溶け込むのがまろやかな味の秘密なのだそうだ。店内の掲示には、昭和39年の食堂開店当時から変わらないレシピ、とあった。ジャガイモが溶け込んでいるせいか、どろっとしたルーは昨今流行のスープカレーとは対極にあるようで、懐かしい。付け合わせの赤い福神漬けは始めから盛られている。

 もちろん食堂内の席もあるが、やはりスタンドで食べてみたい。今日はそれほど混んでいないから、人とぶつかる心配もなさそうだ。白いプラスチックの容器に入れて、透明なフタをかぶせてくれる。観客席の青い長ベンチに腰掛けながら、取ったフタが風に飛ばされないかがちょっと気になったが、球音を聞き、太陽の光を感じながら食べる。溶け残ったイモと、けっこうな頻度で口に入ってくる肉の感じがいい。タマネギはかなりしっかりと炒める、と奈良さんは言っていたが、柔らかい甘味はそのせいだろう。

 これといって主張のあるカレーではなく、おとなしく優しい。それが何度でも食べたくなる理由かもしれない。かつての高校球児たちが大人になり、あるいはプロ野球選手になってカレーを食べに訪れることもあるという。

 取材で再度円山球場を訪れたとき、またこのカレーを食べたことを告白しておこう。
(文・写真:吉村卓也)


このカレーは、ベル食品とのコラボでレトルトのおみやげにもなっている。一つ500円。左は調理責任者の奈良悦子さん。ここで働き30年。


食堂の壁には額に入れられたプロ野球選手のサインが多数。これは日ハムのもの。

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