AFC アサヒファミリークラブ

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十勝さらべつ村「すももと人の物語」 お菓子のニシヤマ

“昔はどの農家の庭先にも、すももの木があって、実は子どもたちのおやつだった。あの甘酸っぱい郷愁の味を、よみがえらせることはできないだろうか”その思いから、すももの木が栽培され始めたのは30年前。今、さらべつ村の「すももの里」には約1,000本の木が広がり、すももの特産品がいくつも誕生しています。今号は、さらべつ村の村おこしを受け継ぐ一軒、「お菓子のニシヤマ」を訪ねました。

TEXT/浜岡あけみ PHOTO/辰巳勲(東洋印刷) 写真提供/更別村観光協会

すももの実は8月半ばごろに産業用や地元高校の実習用が収穫され、その後は一般の収穫が「解禁」となります。
すももの実で自家製ジャムを作り始める、「お菓子のニシヤマ」 のオーナーパティシエ今井良幸さん。

すももの村のパティシエより、愛をこめて。
「すもものチーズケーキ」と、新商品「すもものチーズタルト」をたくさんの人に。

まだ白い日高の山々と大きな青い空のもと。田園風景が広がる南十勝の更別(さらべつ)村では、あとひと月もしたら、白くかれんなすももの花がほころびます。更別村のパティシエ今井良幸さんに、すもものお菓子に託す思いを聞きました。

「お菓子のニシヤマ」が作る、すもものスイーツ

 人口約3,200人のちいさな村のメインストリートで人目を引く、ホワイト&レッドの建物が「お菓子のニシヤマ」です。有名メーカーや老舗店、気鋭菓子店がひしめくお菓子王国十勝においても人気は高く、十勝内外からもファンが訪れています。

 ショーケースには、光輝くベリー類やミルキーなクリームをまとった美しい洋菓子がずらり。それらに比べると、「すもものチーズケーキ」と「すもものチーズタルト」は一見華やかさこそありませんが、味わいはひときわ。中にはさらべつ村産のすももで作ったオリジナルジャムと、今井さんの特別な思いがこもっています。

「すもものチーズケーキ」12㎝1,200円は地方発送も可能。新商品の「すもものチーズタルト」250円、6個入り1,500円は、近々藤丸デパート(帯広市)や本州の小売店等でも販売される予定。

30年前に産声をあげた村おこしを受け継いで

 今井さんが、どのようにしてすももが村の特産となったのか、その軌跡を話してくれました。

 「国道236号沿いのどんぐり公園に『すももの里』ができたのは今から30年前、1987(昭和62)年のことでした。そのころ私はまだ小学生です。当時の商工会事務局長らが、すももで村おこしをしようと思い立ち、観光協会や村議会、農協OBなどに掛け合って進めたと聞いています。

 村の農作物に害虫がおよばないよう、すももの木を1カ所に集約することで農家の皆さんに了承を得て、オーナー制で発足したそうです。当初そのオーナーも、60名で300本程度を育てていくことを想定していたところ、村内で募集をしたら2日間で80名の応募があって、急きょ苗木を増やしたという、うれしい誤算もあったようです」

 しかし、長野県の種苗会社から移入したすももの木は、厳しい冬のしばれや乾燥によって枯れてしまったり花が咲かなかったり、育成は簡単ではなかったとか。オーナーとなって苗木を世話し続けた人たちの努力がしのばれます。それでも村外の人も含めた200名の木1,000本が大きく育ち、期限満了となって現在は村の管理下に。毎年8月半ばごろに、更別村や第三セクターのさらべつ産業振興公社、更別農業高校が収穫をし、各事業所が特産品作りに利用しています。

甘い香りが漂う「お菓子のニシヤマ」店内。
国道236号沿いのどんぐり公園内「すももの里」が、白い花で染まるのは例年5月中旬から下旬。村おこしの一環から始まり、今は官民一体ですももを盛り上げています。

いろいろあるよ すももファミリー そろっているのは「道の駅さらべつ」

 更別村内の団体や事業所が特産のすももを使い、さまざまな商品を製造販売しています。道の駅さらべつでは、「ジャム」「サイダー」「ドレッシング」「リキュール」「のむヨーグルト」「パン」などが販売され、売店ではすももジャムがトッピングされた「すももソフトクリーム」も人気です。近々「すももワイン」も数量限定で登場するのでお楽しみに!(※時期により、次のすもも収穫期まで品切れ中の商品もあります)

道の駅さらべつ
河西郡更別町字弘和464-1
TEL0155(53)3663
営業時間9:00~18:00


行ってみよう!「さらべつすももの里まつり」

 すももの花が咲く時期に開催されるおまつり。パフォーマンスショーや村の茶道クラブによる野だてが開催され、すもものオリジナル商品も集合します。新しいすもも商品「すももワイン」もこの日、お目見えするかも。ぜひ遊びに行ってみましょう。

[日時]5月21日(日) 10:00~14:00ごろまで
[会場]さらべつ すももの里特設会場(更別村南4線95 どんぐり公園内)
[問い合わせ先]更別村観光協会 TEL0155(52)2211

村民はもちろん、各地からたくさんの人が訪れ楽しみます。

一人の力は小さくてもすももの絆でつながれば。

すもものお菓子を通じて村をアピールできたら

 今井さんが村特産のすももでお菓子を作ろうと検討し始めたのは、今から4年前。村内ですももを使ったオリジナル商品が誕生し始めたころです。ちょうど自店をリニューアルしたタイミングだったこともあり、節目として新しい試みに取り組もうと考えてのことでした。

 酸味が豊かなさらべつ産すももはチーズとの相性がよいため、まずはスフレチーズケーキを考案。地元「さらべつチーズ工房」のゴーダチーズや北海道産クリームチーズを使った生地の中に、無添加の自家製すももジャムを入れた「すもものチーズケーキ」が完成したのは構想から2年後のことでした。

 今井さんが作るすももジャムは、赤くつややかでフレッシュな甘酸っぱさが特徴です。「すもものジャム作りは、加熱して冷ますを繰り返し、しっかりと糖を吸収させることがポイント。一度始めたら3時間は付きっきりです」

高の山を間近に望む、更別村の畑風景。これから作物がすくすくと育ち、鮮やかな色の大地となります。

すももで村が一丸に それが目下の願い

 そしてこの春。試行錯誤を重ねた「すもものチーズタルト」も新たにデビューしました。ぜいたくに使った北海道産クリームチーズの濃厚さと、中に隠れたすももジャムの調和が抜群です。「たくさんの人に味わってもらえたらうれしい」と話す今井さん。

 ところで、今井さんの願いは何ですか? 「村のすもも商品がどんどん増えて、更別村がすももの村として知られるようになってほしい。一人の力は小さいけれど、村の仲間がすももの絆でつながっていけば、できるような気がします」

 その願いはきっとかなうことでしょう。30年前に、すももで村おこしに挑んだ先輩たちのDNAを受け継いでいるのですから。

更別村はどんぐりとトラクターとすももの村。農家1戸当たりのトラクター保有台数は全国トップクラスです。
さらべつ「すももの里」に植えられている多くは「サンタローザ」という品種。やや酸味が強く、鮮やかな紅色の果皮とフルーティーな風味が愛され、世界中で栽培されています。v

すももは、からだにうれしい果実

 すももは別名プラム。鉄分、ビタミンA、カリウムなどのミネラルや、食物繊維の一種ペクチンを豊富に含むので、貧血や便秘、高血圧等の予防を期待できます。またクエン酸やリンゴ酸も豊富に含むので疲労回復にも効果的です。


今井 良幸 (いまい・よしゆき)

1978(昭和53)年、更別村出身。幼少時から、「お菓子のニシヤマ」を経営していた伯父が楽しそうに菓子作りをしている姿を見て菓子職人に憧れる。高校卒業後、菓子専門学校を経て札幌や道央の菓子店に勤務し、2005年に伯父の後を継ぎ二代目に。伯父の代から親しまれる、さらべつ銘菓もそのまま継承しながら、地元素材を積極的に使うケーキや焼き菓子をプロデュース中。自分が製作した商品は良幸の印「まるよ」がトレードマーク。

「お菓子のニシヤマ」
河西郡更別村中央町
  TEL0155(52)2065
営業時間9:00~19:00(日・祝日~18:00)
定休日火曜 P4台 イートイン8席

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