夏の甲子園は慶応(神奈川)の優勝で幕を閉じました。今大会、北北海道の担当を務めました。6月24日に始まった十勝地区大会1回戦から8月23日の全国選手権大会決勝まで60日間、100試合以上で記事を書きました。活躍した選手ばかりではなく、敗れはしたものの成長した選手、サポートに回った選手、応援で後押しした生徒、大会運営に携わった裏方さん。高校野球に関わる全ての人が取材対象です。
代表校が決まればチームに同行します。選手たちと同じ宿舎に泊まり、同じバスに乗って練習を見て、試合日は一緒に球場入りしました。
今回、北北海道代表で出場したのはクラーク国際でした。チームが移動するバスの中では、いつも音楽が流れていました。校歌だったり、大会応援ソングだったり。球場入り直前のラスト曲は、決まって矢沢永吉さんの「止まらないHa~Ha」。この曲で気合を入れるのが印象深かったです。
大会期間中、関心が薄い読者にも高校野球の魅力を伝えたいと「わたしと高校野球」というインタビューを企画しました。高校野球があって、人生が豊かになった、精神的に救われた……。高校野球をめぐる思い出を著名人に語ってもらう企画でした。
旭川実で甲子園出場経験がある、とにかく明るい安村さんは、芸人となってからも生きている高校野球の経験を語ってくれました。昨季で現役に区切りをつけた元日本ハムの杉谷拳士さんは九回裏に登板して一球目に死球を与え、敗戦した夏の1球が自らの野球人生の礎となったと話しました。2000年に「夏祭り」で一世を風靡(ふうび)したガールズバンド・Whiteberryの前田有嬉さんは10代の感受性のみずみずしさを、甲子園でチアと売り子バイトの経験を持つHTBアナウンサーの福永裕梨さんは高校野球に導かれた半生を、それぞれ語ってくれました。
そしてスピードスケートの高木美帆さん。北京五輪でゴール直前に金メダルを逃したパシュートを振り返り、敗北との向き合い方、つらい経験をしたチームメートとの接し方を語ってくれました。高木さんは「あの決勝について感情を率直に話したのは(このインタビューが)初めて」だったそうです。
HTBの福永アナは「高校野球には、そして甲子園には、そこに集うすべての人の思いが詰まっています」とインタビューを結びました。これからもまた、一人ひとりの思いを伝えていきたいと思っています。
朝日新聞北海道支社記者 佐々木洋輔
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