2020年にイタリアで出版された絵本を関口英子が訳し「NPO知里森舎 知里幸恵 銀のしずく記念館」が監修、知里幸恵生誕120年・『アイヌ神謡集』出版100年を機に日本語版として発行された。神の国に送られたこぐまが、ユキエにそっと寄り添うように成長し、短い生涯を終えたユキエを天国まで送るというファンタジーを、優しい絵で作り上げた。近代化の荒波の中で必死にユカラを紙に書く。風の言葉を文字にすることへの幸恵やフチたちの戸惑いや決意が、いかに重いものだったか。気付きに満ちた秀逸な作品だ。
文 アリーチェ・ケッレル
絵 長谷川真樹
出版 工学図書
発行 2023年6月8日
価格 1980円(税込)
2023年5月、浦幌町である国際シンポジウムが行われた。参加者は台湾、カナダ、アメリカ、オーストラリア、フィンランドの先住民とアイヌ、そして和人である。主催者はラポロアイヌネイション、北大開示文書研究会、北海道大学先住民・文化的多様性研究グローバルステーションの三者。先住権をどう獲得し維持してきたか、その経験を分かち合い励まし合い、アイヌの将来につなげる貴重な記録だ。惜しむらくは代表の差間正樹が2月6日逝去されたこと。だが後継者たちは、力強く運動の継続発展を宣言した。
編者 国際シンポジウム報告集編集委員会
出版 かりん舎
発行 2024年1月27日
価格 1980円(税込)