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>HOME >特集一覧 >VOL146「滝川新生園 あいがも」(2016年10月23日)
特集「滝川新生園 あいがも」の表紙の写真です
滝川新生園は江部乙町にある就労継続支援事業所。井川健一園長(中列左から2人目)と職員、園生が一丸となって、あいがもの飼育に取り組んでいる
飼育しているのはイギリスで品種改良されたチェリバレー種。年間約1万5千羽を出荷している

餌と環境にこだわり、365日丹精込めて飼育。
安心・安全でヘルシーなあいがも肉を全国へ。

 作付面積日本一の菜の花畑で知られる滝川市江部乙町。春には目に染みるような鮮やかな光景が広がる。この地で1988年に開所した滝川新生園は、知的障がいがあり、一般就労が困難な人に働く場を提供する就労継続支援事業所。現在14人が通所し、あいがもの飼育を中心とした作業に励んでいる。

 「園生には、主に飼育場のもみ殻まきや餌やり、水飲み場の掃除をやってもらっています。協力し合って一生懸命、誠実に働く姿は素晴らしいですし、判断力や自主性などの面で年々向上も見られます」と井川健一園長は誇らしげに話す。

毎朝、新しいもみ殻を飼育場にまんべんなく敷き詰め、清潔な環境を保つ。フンが付いたもみ殻を発酵させ、堆肥の製造も行っている

 そもそも江部乙町であいがもの飼育が始まったのは1973年。1軒の農家があいがも農法を取り入れたのが最初で、1984年に第3セクターの滝川振興公社が食鳥としての本格的な飼育事業に乗り出した。滝川新生園では開所以来、園生へのアニマルセラピーの観点から事業の一部を担当してきたが、2002年に同公社が事業から撤退したため、その全てを引き継いだ。

 4年前に着任した井川園長は、牛や鶏を専門に手掛けてきた畜産のプロ。長年の経験を生かしながら研究を重ね、餌と環境にとことんこだわって品質をさらに高めてきた。

 「ヒナにはたんぱく質の多い餌とニンニク水、その後は植物性にこだわった独自配合の餌とミネラルの多い地下水を与えています。あいがもは温度や湿度管理が難しく、1カ所に集まる習性があるのも厄介なんです。ストレスを与えない環境づくりのために、土日も夜も見回って常に観察しています」。

同園から発送する商品には、園生の手書きメッセージを添えている。購入者の中には返事をくれる人もいるそう

 こうして丹精込めて育てられたあいがも肉は、安心・安全で臭みやクセのない豊かな味わい。赤身の肉質がきめ細かく、脂身は白さが際立って甘みがある。

 加えてヘルシーな側面も大きな魅力だ。ビタミンB群やミネラルが豊富な上、生活習慣病予防に役立つリノレン酸などの不飽和脂肪酸が脂身に多く含まれ、これが甘みを生む。井川園長もその質に驚いたそうで、「僕は脂身が苦手なんですが、あいがもの脂身は香りが良くさっぱりしていて、胸やけも全くしないんですよ」とにっこり。

 近年の人気はこうした魅力が知られてきたためで、2014年から滝川市のふるさと納税の返礼品に同園のセット商品が採用され、さらに人気が上昇。特に首都圏からの注文が相次いでいる。

 「料理の面でも、他の食肉が使われているほとんどのメニューに合うと思います。食わず嫌いの方にも、ぜひ一度味わっていただきたいですね」。

飼育に情熱を注ぐ井川園長。ヒナの大きさにばらつきがあっても、同じ大きさに成長させるのが腕の見せ所だという

社会福祉法人 滝川市社会福祉事業団

就労継続支援事業所 滝川新生園
滝川市江江部乙町725番地1
TEL 0125(75)6363
http://takikawa-jigyoudan.or.jp/

 

飼育から解体・加工・販売まで、一貫管理で高い品質をキープ。

 滝川新生園では赤平に加工場を持ち、解体・加工・販売までを一貫管理。少しでも品質の劣るものは解体の際に除き、飼育現場へ情報をフィードバックすることで、高い品質をキープしている。

 滝川新生園には2棟の飼育場があり、総面積は約787㎡。2週間ごとに600羽のヒナを専門業者から仕入れ、最も味が乗る60日後に出荷というサイクルを繰り返す。

生後1カ月までは小規模の飼育場で育成し、より広い飼育場へと移す

 赤平の加工場には、解体室や加工室などがある。スタッフは7人で、中にはこの道40年以上のベテランも。全て手作業で一つ一つ丁寧に商品化している。

スライスした肉は即座にパック詰めと計量をし、真空加工を施して冷凍する

DATA:滝川新生園 赤平工場 赤平市共和町199番地13 TEL 0125(74)6156

家庭で手軽に味わえる真空パック商品が充実。

 滝川新生園では、業務用商品に加え、手軽な真空パック商品を充実させている。ラインアップは現在8種類。ロース、モモ、ロール巻きの各スライス、スモーク3種、ソーセージ2種があり、同園と赤平工場で直売している。

 また、一部商品は「道の駅たきかわ」をはじめ市内5カ所、さらに「きたキッチン(旭川店)」や「どさんこプラザ(札幌店・有楽町店)」などでも販売している。

滝川新生園での直売は平日8時30分~17時

おすすめメニュー

 同園のあいがも肉は、道内の多数の飲食店で使われている。このうち地元の滝川市民ゴルフ場のレストランではモモを使った「そば」、老舗食堂・味のなかたではロースを使った「丼」を提供しており、人気が高い。いずれも家庭ですぐにまねできるので、ぜひお試しを。なお、煮すぎない・焼きすぎないことが、あいがも肉をおいしく味わうポイントだ。

「あいがも丼」1,080円(みそ汁、漬物付き)

味のなかた(滝川市栄町2丁目)

【作り方】あいがものロースをさっと焼いてタレを絡め、ご飯の上に並べる。同店では特製のタレを使い、炒めタマネギ&焼きマイタケを合わせているが、家庭では市販のタレを使って好みの野菜でアレンジを。

「あいがもそば」500円

滝川市民ゴルフ場レストラン(滝川市泉町1丁目)※営業は4月〜10月

【作り方】つゆを作り、ささがきのゴボウを先に煮てから、あいがものモモを加える。ゆでたそばに熱いつゆをかけ、小口切りの長ネギを添える。長ネギは斜め切りにして、肉と一緒にさっと煮てもおいしい。

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2016年10月23日 特集146号 ※記事の内容は取材当時のものです。
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