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>HOME >特集一覧 >VOL147「サッカークラブが地域を元気にする」(2016年11月27日)
特集「サッカークラブが地域を元気にする」の表紙の写真です

野々村芳和社長
Yoshikazu Nonomura

1972年、静岡県清水市(現・静岡市)出身。慶應義塾大学卒業後、95年ジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に加入。2000年コンサドーレ札幌(当時)に移籍。01年に現役を引退し、コンサドーレ札幌のチームアドバイザーに就任。13年、コンサドーレの運営会社の顧問及び代表取締役社長に就任。(公社)日本プロサッカーリーグ理事。

三上大勝GM
Hirokatsu Mikami

1971年、室蘭市出身。室蘭大谷高校、札幌大学のサッカー部に所属し、93年4月から96年途中まで、JFLのNEC山形サッカー部所属。選手引退後はモンテディオ山形の設立に携わり、山形県スポーツ振興21世紀協会に所属。99年、コンサドーレの運営会社に移り、スカウト業務などチームの強化を担当。強化部長を経て、2013年から、ゼネラルマネージャー(GM)を務める。

選手強化で勝ち抜いた2016シーズン
「補強については満点をあげられます」(野々村社長)

―クラブ設立20周年、おめでとうございます。今期の好調は2013年からタッグを組んでいるお二人の功績が大きいと思いますが、現役時代のお互いの印象は?

野々村社長 自分は清水東、三上は室蘭大谷で、学年は三上が一つ上。高校時代に接点はなかったけど、コンサドーレの現役時代は三上が僕たちの給料を決める立場。2000年にJ1昇格が決まった時、三上から翌年の年俸を提示されたことは覚えていますね。

三上GM スカウトの目線で言うと、何か武器を持っている選手というのが自分の中の大きなパーツだったんですが、社長は速いとか強いといった武器ではなく、サッカー頭脳という武器もあるということを気づかせてくれた選手でした。

野々村社長 当時の岡田監督にすれば、僕は扱いにくい選手だったと思いますよ。でも、その頃のインタビューで、「ボールに1回も触らなくても、チームが勝てる選手になりたい」と言っていたことを思うと、三上が言うような特徴があったのかもしれませんね。

―その時代にアシスタントコーチだった四方田氏が現在の監督ですから、3人で強いチームを作り上げてこられた印象があります。ところで、クラブの中での野々村社長と三上GMの役割分担は?

三上GM 僕自身は社長と同じ領域で仕事をしているつもりです。ただ、経営に関してはやはり社長の意見を尊重しますし、チーム強化の部分は僕の意見を尊重してくれています。

野々村社長 僕と三上とでは、現場を見ている年数や量は圧倒的に違います。僕がいいと思った選手が必ずしもいいとは限らないので、最終的には三上たちの意見を尊重するということはありますね。

―2016シーズンの好成績の理由の一つに選手の補強があると思いますが、率直に今シーズンの成績を振り返っていかがですか?

野々村社長 まぐれと言ってはなんだけど、選手たちは本当によくやってくれました。選手に掛けるお金を増やすことが、経営者としての自分に求められているところで、強化費は4年前から倍以上になったといっても、J2上位のチームとの差は約10億円。今の6億円の強化費を7億円ぐらいの価値に高めていこうというみんなの気持ちが結果に結び付いたと思います。補強については満点をあげられますね。

三上GM 去年と比べると、1億円ほど強化費が増えましたので、ブラジル人選手3人とヴィッセル神戸からDFの増川を獲得することができました。FWのヘイスは彼が18歳の時から目を付けていた選手で、MFのジュリーニョやマセードはサイドからの攻撃を強化するために加入してもらったわけですが、その補強はうまくいったと思います。

北海道コンサドーレ札幌U18ユースの試合
北海道コンサドーレ札幌U18ユースの試合
 

サポーターとチームの一体感が増幅
「全道にファミリーの拠点を展開していきたい」(三上GM)

―特に2016シーズンはキックオフパーティーから始まり、チーム、フロント、サポーター、スポンサー企業の一体感を強く感じました。

―野々村社長 このチームに来て思ったのは、いわゆるサポーターでさえ、チームの現状をよく分かっていなくて、本当に小さなクラブになってしまっていたということ。それで去年、サポーターの前で、チームの現状を全て話して、目標設定を共有したんです。そのことが一体感につながり、上を目指せるチームとして結果が出せたのだと思っています。

三上GM 社長が積極的に取り組んでいる情報公開はサポーターやスポンサー企業だけでなく、選手やスタッフにも伝わっていますから、みんなで目標を共有して、いい方向に向かっているのではないでしょうか。

野々村社長 クラブを大きくするために必要なのは地域の力。地域の仲間を増やすため、北海道のために必要なことは何でもやっていくつもりですよ。

―コンサドーレは地元北海道の若手選手の育成にも力を入れています。育成組織のアカデミーの存在が強みだと思いますが。

野々村社長 J2中位レベルなら活躍できる選手と、J1で活躍できる選手のレベルは全然違うので、アカデミーのレベルアップも必要だという問題意識を持って、育成を進めています。

三上GM 札幌と旭川の2拠点だったアカデミーは今年から釧路(U-15/U-12)が加わりました。今後も全道にコンサドーレファミリーと言われるような拠点を展開していきたいですし、そこから社長の思いを具現化できればと思っています。

―Jリーグは現在3部制で、53ものクラブが存在します。その中で、常にJ1でいるために必要なことは?

野々村社長 コンサドーレがJリーグのトップに定着していくには、10億円程度の強化費が必要です。そのためには仲間を増やして、その仲間たちが幸せになれる体制を作る。それに尽きますね。スポンサー収入は今年度、最高額を達成しましたが、さらにスポンサーにもご協力いただいて、強化費を確保しなければ、トップリーグでの定着は難しいと考えています。

―ネット動画配信のDAZN(ダ・ゾーン)がJリーグと10年間の放送権契約を交わしたことも、各クラブに好影響をもたらすのでは?

野々村社長 日本ではまだサッカーの価値を理解していない人が多いので、インターネット配信によって、世界中どこにいても、Jリーグの試合が見られるというのは将来的に効果が出てくると思いますよ。

三上GM 日本のスポーツ界では初めての例ですから、サッカーも含め、日本のスポーツが世界に向けて、何を発信していくかが問われる10年になると思っています。社長はJリーグの理事でもあるので、それをさらに声に出して、リードしていってくれると思いますし、各クラブへ放映料が配分されますから、収入面でも多少のプラスは期待できますね。

目指すのは北海道の総合スポーツクラブ
「スポーツを北海道の文化にしていきたい」(野々村社長)

―コンサドーレは他のクラブに先駆けて、東南アジアのクラブと提携しました。海外戦略は今後も力を入れていくのでしょうか?

野々村社長 東南アジアの選手を期限付き移籍などで受け入れているのはメディア戦略の一つでもあります。ベトナムなどでコンサドーレの試合が中継されることで、SAPPOROやHOKKAIDOの文字が流れるわけですから、インバウンドにも貢献できていますし、今まではスポーツ紙に掲載されるだけだったサッカーが経済面でも取り上げられるようになったのは、狙い通りの効果です。そして、コンサドーレが東南アジアの子どもたちが目標とする存在にもなっている。その可能性は広げていると思います。サッカーには力がある。それをもっと多くの人に分かってもらいたいですね。

三上GM 海外戦略に関しては社長が就任してから、スピード感が増しました。サッカークラブが北海道にあるという存在意義を伝えること、地域に貢献すること。今まで種をまいてきたことが、社長の就任によって、一気に動き始めたという感じです。

―地域活性化という面では女子サッカーチームを作り、バドミントンへの参入も発表されましたね。

野々村社長 コンサドーレが目指すのは、地域の総合スポーツクラブ。20周年を機に社名をコンサドーレに変更し、チーム名に北海道を加えたのもそのためで、地域の人たちがスポーツを盛り上げていこうという思いがないと、それは実現しません。コンサドーレのブランド力を生かして、さまざまなマイナースポーツの人たちと一緒に活動することで、活動資金も含めて、効果が生まれるのではないかと思っているんです。

三上GM すでに活動しているスポーツチームもサッカーほどメジャーではないため、資金や練習場などで大変な思いをしています。全国やアジアで戦える能力があるのに活動が続けられないというスポーツをコンサドーレがフォローして、北海道を盛り上げていきたいですね。

野々村社長 コンサドーレがスポンサー企業やサポーターなど、地域の人たちの協力で成立しているように、ほかのスポーツも一緒に育てていく環境を作っていきたい。スキーやスケートでもいいし、コンサドーレの力を使って、オリンピックを目指すスポーツ選手が出てくれば、いいなと思っているんです。北海道のスポーツは北海道が作る。コンサドーレがそういう存在になれればいいですね。

―最後に10年後のコンサドーレ、そして、お二人の夢をお聞かせください。

三上GM 北海道の総合スポーツクラブとして、「コンサドーレがあったから、やりたいスポーツができた」とか、「孫とスポーツの会話が弾んだ」という形で、道民、市民の皆さんの生活の一部になっていきたい。チームとしては、アジアのクラブチームの選手権ACL出場を目標に頑張っていきたいです。

野々村社長 サッカーのポテンシャルの高さを北海道の文化として根付かせていきたい。道民、市民の皆さんが、コンサドーレがやっているスポーツを自分のことのように感じられるようになるのは、とても幸せなことだと思うんです。10年後にはコンサドーレが皆さんの毎日の生活の中で、リアルに感動が与えられる存在になっていたいと思いますし、クラブのスローガンである「北海道とともに、世界へ」を皆さんと一緒に実現したいですね。

(2016年10月20日、コンサドーレ本社にて)

サポーターと育てた「コンサツリー」
強力サポーター 吉井 仁さん

三上GMとは札幌大学時代に右と左のサイドバックを務めた仲で、コンサドーレは設立当初から応援しています。上ったり、下ったり、まさか! という出来事もあったチームですが、この20年間でコンサドーレという大きな木を僕たちサポーターと一緒に育ててきたという思いがあります。コンサドーレのサポーターはまさにファミリー。この木を揺るぎないものにするため、いろんな肥料をあげて、成長していってほしいと願っています。

2016明治安田生命J 2リーグ

開催日対戦相手スコア
2/28(日)東京ヴェルディ0●1
3/6(日)FC岐阜4○0
3/13(日)愛媛FC1△1
3/20(日)清水エスパルス2○0
3/26(土)京都サンガF.C.3○1
4/3(日)FC町田ゼルビア0●2
4/9(土)ファジアーノ岡山1○0
4/17(日)モンテディオ山形1△1
4/23(土)セレッソ大阪1○0
104/29(金)徳島ヴォルティス1○0
115/3(火)ツエーゲン金沢1○0
135/15(日)水戸ホーリーホック1○0
145/22(日)カマタマーレ讃岐1○0
155/28(土)レノファ山口FC3○1
166/4(土)ジェフユナイテッド千葉2△2
176/8(水)松本山雅FC2●3
186/13(月)V・ファーレン長崎2○1
196/19(日)ギラヴァンツ北九州1○0
206/26(日)ザスパクサツ群馬1○0
217/3(日)横浜FC5○2
227/9(土)セレッソ大阪0△0
237/16(土)ファジアーノ岡山0△0
247/20(水)松本山雅FC1○0
257/25(月)FC岐阜5○0
267/31(日)レノファ山口FC2○1
278/7(日)清水エスパルス3○2
288/11(木)横浜FC0●1
298/14(日)モンテディオ山形3○1
308/21(日)京都サンガF.C.0△0
128/25(木)ロアッソ熊本1○0
319/11(日)ザスパクサツ群馬3○1
329/18(日)V・ファーレン長崎0△0
339/26(月)FC町田ゼルビア3○2
3410/2(日)ギラヴァンツ北九州0△0
3510/8(土)水戸ホーリーホック1○0
3610/16(日)愛媛FC2△2
3710/22(土)東京ヴェルディ1●2
3810/30(日)ロアッソ熊本0●2
3911/3(木)カマタマーレ讃岐4○1
4011/6(日)徳島ヴォルティス1●2
4111/12(土)ジェフユナイテッド千葉2○1
4211/20(日)ツエーゲン金沢0△0

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2016年11月27日 特集147号 ※記事の内容は取材当時のものです。
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