本当においしいコーヒーを味わってほしい。その思いだけで開業されたサッポロ珈琲館。その歩みの途中、2代目の伊藤仁社長はオンリーワンのおいしさを探すために、世界へと飛び出しました。そのチャレンジの足跡を紹介します。
このコーヒーはどこで誰に育てられ、どのようにして今、テーブルへとたどり着いたのか。こうしたコーヒーの出自と旅が、世界に契約農場を持つサッポロ珈琲館では明白です。
2003年にサッポロ珈琲館が初めて契約したのがブラジル・セラード地区の農場。この試みは大きな転機となりましたが、広大なブラジルを訪ね、自分たちが望む味の豆を栽培してくれる農場を探すなど大きな挑戦だったことでしょう。
「不安もありましたが実現したい思いが勝りました。コーヒー豆は栽培時の水の与え方や雑草の取り方など、人の仕事によって品質が大きく変わります。また収穫した生豆は赤道直下を通り、約1カ月もかけて輸送されるので、品質を下げないコンテナ管理も重要です。このように栽培から輸送まですべてを自分たちでコントロールし、最高の味にしたかったのです」
2008年にはインドネシア・バリ島のタビ村と契約。続いて2011年にもインドネシアのスマトラ島で最高級のマンデリンを契約し、2012年にはコロンビアでも。さらにブラジル国内の契約農場も累計で4カ所目となり、世界各地からスペシャルティーコーヒーが届いています。
伊藤社長がこれまで行った国は30以上。高山病に耐え、ジャングルを渡り歩く出張は大変ではあるけれど、良い産地との出合いや現地の人々と培う信頼はかけがえのないものだそう。そして「しっかりと熟した豆は素晴らしい味で、ブラジルのストレートコーヒーなどは驚くほど甘いんですよ」と、うれしそうに話す伊藤社長。そんな言葉を聞くと、今すぐにでも味わってみたくなります。
※価格はすべて税込み金額です。
10月1日は「コーヒーの日」で、10月はブラジルから新豆が届く旬。コーヒーファンが心を躍らせるこの時期に、コーヒーの専門家による貴重な話を聴きませんか。会場ロビーでは契約農場4カ所のコーヒー飲み比べも楽しめます。
日時:10月21日(土) 12:00開場・13:00開演・16:00頃終了予定
会場:共済ホール 札幌市中央区北4条西1丁目1 共済ビル6階
TEL011(251)7333
申し込み方法:郵便はがきでお申し込みください。はがきには「珈琲セミナー参加希望」「朝日新聞購読者」と明記のうえ、住所・氏名・年齢・電話番号を記入し、〒063-0841 札幌市西区八軒1条西3丁目1番地63号 (株)珈房 サッポロ珈琲館 本部までご郵送ください。
※申し込み締め切りは9月末ですが、当選者は先着順で決定します。
※当選者の発表は入場券の発送をもって代えさせていただきます。
内容:第1部 ブラジル移民の孫として良質のコーヒー農園を育てた、(株)セラード珈琲の代表、山口カルロス・彰男さんによる、ブラジルの広大な農園の紹介や栽培のこだわりなど生産者ならではの貴重な講演。
第2部 石光商事(株) 石脇智広社長(工学博士)によるセミナー。コーヒーと健康の関係、おいしさの秘密などをお楽しみに。
問い合わせ先:(株)珈房 サッポロ珈琲館本部 TEL011(642)1389
サッポロ珈琲館には北海道素材を使ったスイーツも豊富です。その中でも「お点前珈琲セット」のお茶請けとして作られた「珈琲羊かん」はロングセラー。北見市産の白餡とミルク、そしてサッポロ珈琲館の炭焼珈琲をたっぷりと使ったメイドイン北海道のおいしさです。
サッポロ珈琲館の本店裏にある焙煎工房では、開業以来35年使われている、直火式では北海道最大級の焙煎機が芳ばしい匂いを漂わせています。炭焼コーヒーは黒く焼いた苦いだけのコーヒーと誤解される事がありますが、炭火焙煎は良い焙煎機と熟練の焙煎士の手にかかると、魔法がかかったようにおいしさを放ちます。この日、焙煎士の神業を見る事ができました。その日の気温や湿度を考慮しながら火床に備長炭をくべ、パチパチと豆がはぜる音を聞き、豆の色づき具合を見ながら最高のタイミングを捉えます。
「これが当社のCSR(チャコール・ストレート・ロースト)製法です。炭は燃焼時に水蒸気をほとんど発生させないため豆に熱が伝わりやすく、炭火の遠赤外線効果で豆の芯部までムラなく焼く事ができます。さらに木炭の灰がコーヒーの酸性を程よく中和して風味を増すなど、3つの効果でおいしさを引き出すのが当社の直火焙煎法です」と伊藤社長。こうして1日に300キログラムもの焙(や)きたて豆が各店舗や通販客のもとへと運ばれて、誰かを至福で包みます。味わいの向こうに、産地の風景や豆に携わる人々の姿まで浮かんでくる。それがサッポロ珈琲館のコーヒーです。
(株)珈房 サッポロ珈琲館 本部
札幌市西区八軒1条西3丁目1-63
TEL011(642)1389
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2017年8月20日 特集156号 ※記事の内容は取材当時のものです。