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>HOME >特集一覧 >VOL143「旭川市・(株)福居製餡所 あんジャム」(2016年7月24日)
特集「旭川市・(株)福居製餡所 あんジャム」の表紙の写真です

開発を手がけた代表取締役・福居恵美子さん(右)と、息子で専務の福居裕二さん

工場の従業員は25人。勤続20年以上のベテランも

美瑛産「しゅまり小豆」を100%使用。
製餡メーカーが自社で開発した自信作!

 1948年に旭川市で創業した、製餡メーカーの福居製餡所。製餡業は菓子業界の縁の下の力持ち的存在で、同社の取引先は菓子メーカーを中心に北海道から関東まで幅広い。一般的に製餡所では、味付けをしていない「生あん」のほか、砂糖を加えて練り上げた「こしあん」や、小豆を煮て砂糖などを加え直接炊き上げる「粒あん」を製造する。さらに同社では甘納豆や、取引先の要望に合わせたプライベートブランドの羊羹なども手がけ、道産豆類の販売も行う。

 北海道を代表する農産物の一つである小豆は、国内生産量の約80%を誇り、北海道全体の半分強を十勝地方が占める。同社の主力である「しゅまり小豆」は、1997年から本格的な育成が始まった新しい品種。まず道北・朱鞠内湖の近くで育成されたこと、また朱色の鞠のように美しいことから名付けられた。鮮やかな赤紫色に加え、味と香りの良さが特徴で、道産小豆の中でも高い評価を得ている。他の品種に比べると生産量が極めて少ないため、価格も高い。同社では、その品質に着目し、品種開発の段階から生産農家数や耕地面積の拡充に取り組んできた。

創業から68年。「顧客の声に耳を傾けて改良と努力を重ねてきた結果です」と代表の恵美子さん

 

 「北海道の中央にある上川は、昔からおいしい小豆が作られている産地ですが、小豆というと十勝のイメージが強く、いつも陰に隠れていました。でも、しゅまりは、色、味、香りが良く、上川の風土に合った品種。十勝に負けない、上川のしゅまりを全国に売り込みたいと思ったんです」と同社代表取締役の福居恵美子さん。

 「小豆の作付面積は減少傾向にありますが、一方で品質を求める消費者ニーズは高まっています。しゅまりは一般的な小豆と比べると作り手にとって手間がかかりますが、豆作りの妙味がある品種とも言えるんです」と専務の福居裕二さんも力説する。

「あんこ文化が根付く名古屋では、このサイズ(150g)だと少なすぎると言われました(笑)」と専務の裕二さん

 

 商品化までに1年半を費やして今年4月に発売した『あんジャム』は、いつでもどこでも手軽に味わえるチューブ入り。美瑛産のしゅまり小豆と道産のてん菜糖を100%使用している。試食してみると、甘さは控えめで想像以上に上品な味わい。あんこが苦手な人にも薦めたくなるおいしさだ。

 

 「片手で使えて、手も道具も汚れません。食べきれるサイズにもこだわり、150gにしました。苦労したのは、粒あんが細い口先からスムーズに出てくる適度な硬さ。程良い食感を求めて、何度も試作を重ねました」と恵美子さん。

   

片手で使いたい分だけトッピングでき、力の弱い子どもや高齢者にも便利。

 毎日製造するあんこは、全て受注生産。あんぱん用、どらやき用などそれぞれ配合が異なり、常時40〜50種類にも及ぶ。『あんジャム』は、そうした多様なニーズに応えてきた同社だからこそ生まれた商品だ。現在は主に関東圏のスーパーで販売されており、この秋には道内の大手スーパーでも展開が予定されている。

 「道内にもどんどん販路を広げて、将来的には2020年の東京オリンピックの波に乗り、日本の食文化の一つとして注目されたいですね」。裕二さんはそう言って目を輝かせた。

株式会社 福居製餡所

旭川市二条通20丁目左9号
TEL 0166(31)5001
http://www.seianjo.co.jp/

自然が作る農産物だからこそ、
機械にできない「手仕事」を大事に

 あんこの製造は、「炊く」、「蒸す」、「さらす」、「絞る」という工程に大別され、機械化が進んでいる。 しかし同社では、長年の経験から生まれる職人技にも重きを置く。 「小豆は生きもの。収穫した年によっても、その日の温度や湿度によっても仕上がりが全く違うため、機械任せにはできないんです」(裕二さん)。

同社が扱う豆はおよそ50種類。製造する商品は季節商品を含めると300種類にも上る

第一の工程「炊き」が商品の完成度を左右する

炊き上がった小豆を機械に移し、砂糖を加えて練り上げる

職人が機械の中をのぞいては水分の締まり具合を調整する

直売所ガイド

 工場直結の直売店は、2014年にオープン。どらやきなどの菓子のほか豆類も販売。人気商品は、しゅまり小豆のこしあんをたっぷり使ったオリジナルの「あんソフト」(夏季限定)。その評判を聞きつけ、札幌や帯広など遠方からも客が訪れる。

単品から贈答品までそろい、もちろん『あんジャム』も購入できる

店舗は工場のスタッフが兼務。「ここだけの味を食べに来てください」

名古屋名物の小倉トーストも簡単

いつものアイスが和スイーツに!

食べ方いろいろ!

 『あんジャム』をこんがりと焼いた食パンにたっぷり塗れば小倉トーストの出来上がり。お餅はもちろん、ヨーグルトとも相性ぴったり。今の季節は、かき氷やアイスクリームにトッピングするのもおすすめ。

工場直売店「あん庵」

旭川市二条通20丁目左9号
TEL 0166(73)5224
営業時間 9:00〜17:00
休業日 木曜
Facebookページ有

人気のあんソフト(300円)は、しっかりとした風味がありながら後味は驚くほどさっぱり

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2016年7月24日 特集143号 ※記事の内容は取材当時のものです。
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