「見方」という名前は知らなくても、作られる料理を口にした人はかなり多いかもしれない。見方で作る「おせち」は約130種類。ほかにもホテル・レストランのパーティー料理、大手スーパーの総菜など約3700メニューを全て手作りで調理。「冷凍も調理の一つ」とする高い技術力で、自然解凍、もしくは加熱などの簡単調理で、“出来たて”になる料理を全国に提供している。
北広島市にある工場内を訪れてみると、本当に全てが手作りであると分かった。調理室は、和食、洋食、中華、スイーツ、おせちに分かれ、国内・海外でキャリアを積んだ料理人が各部門の調理場を仕切っている。小さな飾り寿司を作る人、スポンジにクリームを塗る人、大きな調理場で一人一人が丁寧に、かつ手早く調理している様子にまず驚かされた。
そんな業務用のノウハウを「家庭向け」に生かしたいと考案したのが、見方の商品ブランド&店舗の「北のシェフ」。中華や洋食の本格総菜、インド人シェフが作るカレー、オリジナルスイーツなど、「おうちでシェフの料理が味わえる」というのがコンセプト。そして、北のシェフの看板商品として人気を集めているのが「なまらシリーズ」だ。
「プロの味をそのまま食卓へお届けする本格総菜。もう一方で、他にはないユニークなものを作りたかった。中華まんは、中身を工夫すると驚きの商品ができると考えました」と話すのは、「なまらシリーズ」の開発を手掛ける宮川隆一常務。
製造を担当する中華調理部長の竹島雄二さんは、「一番苦労したのは生地。中身はなるべくジューシーなものにしたかったので、その具を包む生地が大事になる。北海道産の小麦粉選びから始め、理想とする生地が安定して作れるようになるまで3年かかりました」と振り返る。見た目や発想はユニークでも、やはり“本格”にこだわるのが見方流だ。
「北のシェフ」がスタートした6年前から、1年に1種類の「なまらシリーズ」を開発。現在は、6種類の味が楽しめ、中でもリピーター率の高いのが「なまらうまい豚」だ。大きな角煮を丸ごと包み、電子レンジで加熱または蒸し器で調理して食べると肉がホロホロにとろけ、一緒に入っているチーズと絡んで絶妙な具になる一品。「中華料理の特徴は、長い歴史の中で培われた技術があること。自分も1年に800以上のレシピを考えますが、中華の技を使うといろいろなアレンジができる。これからもひと味違う中華まんじゅうを提供しますよ」と笑う竹島部長。
本格的でユニークな「なまらシリーズ」。ぜひ味わって、「北海道の食材が、こんな中華まんになるのか!」と驚いてほしい。
●株式会社 見方
北広島市大曲工業団地2丁目1-3
TEL 011(376)2277
→ウェブサイト
「なまらうまい豚」の角煮は、脂身の少ない豚肉を選ぶところから始まる。その豚肉を油でサッと揚げてから、特製タレに漬けこみ、6時間かけて蒸し上げる。生地は道産小麦粉2種類をブレンドして作り、一つ一つ麺棒で延ばし、道産チーズとタレを絡めた角煮を包む。
このように生地を延ばすところから手作りのため、調理できるスタッフも限られ、製造は1日500個が限界。「1個でも1万個でも同じものを作るのがプロ。手作りだからと、ムラがあるのは許されない。その点、うちの調理スタッフは、手作りのプロと自信を持って言えます」と竹島部長。きれいにそろった出来上がりを見て、納得する言葉だった。
商品は、見方の敷地内にある「北のシェフ」ショップ、または通信販売で購入できる。取材時に、「なまらうまい豚」を大量購入するお客さんを発見!札幌から北広島へ仕事で来たという男性で、「会社の人たちが食べたいと言うからお土産に」。一緒に来た女性は、「東京で一人暮らしする息子へ送ろうと思って」と本格総菜シリーズを購入。その後も、工業団地の中にある小さなショップに、お客さんが次々と来店。
現在の「北のシェフ」は仮店舗で、4月には36号線を挟んだ向かい側の住宅地に、新店舗がオープン予定。その場ですぐに食べられるイートインコーナーも設けるという。お祝いやホームパーティーに、「北のシェフ」が活躍する場は、ますます広がりそうだ。
2017年のさっぽろ雪まつり大通会場(2丁目)では、「なまらシリーズ」の全種類を販売する予定。雪像を見ながら、ふかしたての熱々まんをぜひどうぞ!
2017年1月22日 特集149号 ※記事の内容は取材当時のものです。