江別市街地にある起業者向けビル。その一画に、ノースアイランドビールのブルワリー(醸造所)はあります。クラフトビールの魅力である、作り手の情熱と独創的な味わいを知りたくて…。取締役工場長の多賀谷壮さんに話を聞きました。
ホップを利かせた北米スタイルのビール
ノースアイランドビールのレギュラー銘柄は6種で、そのほか限定ビールや季節のビールも醸造しています。いずれもホップをふんだんに利かせた、北米スタイルのビール。鮮やかな香りと苦みが個性を放ち、全国にファンが広がっています。
この味わいを誕生させたのが、ブルーマスター(醸造責任者)でもある多賀谷工場長です。創業前の2001年から数度、クラフトビール造りが盛んなカナダへと渡り、ビール醸造を学んできました。
現在北海道には20近くのクラフトビールのブルワリーがありますが、その大半はドイツやベルギーなどヨーロッパ系のビールです。その中であえて北米系のビールを目指したことは、「挑戦」だったかもしれません。
ビール造りは、水と麦芽、酵母、ホップなどの香味料を組み合わせることで、レシピは無限に広がるといいます。「Beer is Art(ビールは芸術作品だ)」とはカナダの師から授かった言葉。この教えに導かれ、「自分たちが作りたいビールを造ろう」と、多賀谷工場長たちは2003年の創業以来、各国の定番ビールを独自のレシピでリリースしてきました。
江別産小麦を使った格別なヴァイツエン
その中でも特に注目されるのが、地元江別産小麦の「ハルユタカ」を使った「ヴァイツエン」です。
「私たちは地域の産物でビール作りをすることも目標として、小麦の産地である江別市に醸造所を構えました。ですから、このヴァイツエンは格別なのです」
フルーティーな印象と、小麦由来のほのかな酸味と甘みが余韻を残す「ヴァイツエン」は江別の幸。さわやかな飲み口に、豊穣の大地を感じます。
NORTH ISLAND BEER〈ノースアイランドビール〉
江別市元町11-5
TEL 011(391)7775
http://northislandbeer.jp/
第5回 サッポロ・クラフト・ビア・フォレスト2017
7月8日(土)・9日(日)
札幌ばんけいに、今年も全国各地のブルワリーが大集合します。20社を超える多種多様なクラフトビールと、とびきりのフードで特別な夏の日をおう歌しましょう。お得な前売り券を、実行委員会の各店舗にて販売予定。ほか当日券も有り。両日は路線バスのほか、無料シャトルバスも運行します。現在未定の開催時間等は、随時ホームページに紹介されるのでご確認を。
ノースアイランドビールの直営ビアバー「ビアバーノースアイランド」が、札幌市中央区で営業しています。レギュラービール6種と2種の限定ビール、そしてビールにぴったりのフードも各種。達人が注ぐ、泡とビールの黄金比もお楽しみに!
ホップを利かせた北米スタイルのビール
ノースアイランドビールは飲み比べが楽しいビールです。江別産小麦を使った白ビール「ヴァイツエン」や、麦芽風味とアロマホップがしっかり香る「ピルスナー」は、だれにでも愛されるそう快なおいしさ。
香りとコクと味わいが調和した「ブラウンエール」や、ビターチョコレートのようなフレーバーを醸した黒ビール「スタウト」、そして鮮烈なアメリカンホップの香りと苦みがほとばしる「インディアペールエール」と、濃厚な黒ビールにコリアンダーをマッチさせたフレーバービール「コリアンダーブラック」。いずれも多賀谷工場長たちビール職人が、丹精と愉しさを込めて造る自信作で、本格を知るビールファンを唸らせています。
「大ファンです」の声を励みにうまさを追求
「Beer is Art」の言葉通り、クラフトビールは他の酒類とは異なり、作り手が自由に表現できるクリエーティブな世界です。だからこそ創作意欲がかきたてられ、「おいしかった」「大ファンです」の声が原動力になるそう。
では、ノースアイランドビールが次に見すえる夢は何ですか。
「江別市内の生産者に大麦栽培を依頼し、地元産大麦でビールを造ることです。そして地場産のビールを地域の人々に日常で楽しんでもらえるようなクラフトビール文化が江別市から根付き、いつか北海道が日本のビール王国になればうれしいです」。そう即答した多賀谷工場長。ノースアイランドビールの挑戦はまだまだ続きそうです。
2017年5月28日 特集153号 ※記事の内容は取材当時のものです。