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>HOME >特集一覧 >VOL155「デザイナーと職人 旭川家具の魅力を探る」(2017年7月23日)
特集「デザイナーと職人 旭川家具の魅力を探る」の表紙の写真です

デザイナー松岡智之氏によって描かれた、新作家具シリーズ「FAWN(ファウン)」のスケッチ。旭川家具作りはイメージを形にする段階からデザイン性の追求がスタートします。

匠工芸の本社建物から望む景色。旭川空港からほど近い、大雪山を望む小高い丘に静かに佇んでいます。四季を感じる最高のロケーションで匠工芸の家具は作られます。

工場見学ルポ

高さはないものの体育館ほどの広さに木の香り。大きな窓の外には田園風景が広がり、陽が優しく差し込む明るい空間は工場というよりはアトリエのような雰囲気。ここで匠工芸の家具が作られます。行く先々で職人たちは作業の手を止め、「こんにちは」とあいさつで迎えてくれました。

工場長の下地雅光さん
「現在のデザインはフォルムにこだわりをもった製品が多いため、工程数も多く、製造現場では非常に手間がかかります。最近のトレンドは線が細くディテールの表現が求められます。でもそうやって苦労して作った甲斐あって、今年の最新作FAWNは僕も自宅で使いたい作品です」

匠工芸の職人の9割が家具製作一級・二級技能士の資格を有しています。工場休業日も練習時間を設けるなど技能研鑽を奨励しているのが特徴です。

木地調整のためのお手製の研磨機。設備や道具のメンテナンスも職人の仕事。段取りがものをいう世界でもあります。

デザイナーのスケッチをもとに設計された家具を作るのが家具職人の仕事。実際には細かい工程に分かれていて川上から川下まで職人の手が加わって製品になります。

①木取り

乾燥させた材料を大まかにカット。大きな節や反りを避けながら機械で刻む作業。

②機械加工

表面を平らに加工したりパーツの切り出し、大まかな面取りを機械で行います。

③組み立て

乾燥させた材料を大まかにカット。大きな節や反りを避けながら機械で刻む作業。

④仕上げ

表面を平らに加工したりパーツの切り出し、大まかな面取りを機械で行います。

⑤塗装

乾燥させた材料を大まかにカット。大きな節や反りを避けながら機械で刻む作業。

⑥梱包・出荷

表面を平らに加工したりパーツの切り出し、大まかな面取りを機械で行います。

 匠工芸の製造現場を支えるのが約30名の職人たち。旭川で家具作りをしたいと職人を志し全国から希望者が集まってくるそう。若い社員が多いのですが、真剣な眼差しは職人の顔そのもの。世界に誇るブランドを支える自信がひしひしと伝わってきたのが印象的でした。

東神楽町の市街地を抜け、大雪山に向かってまっすぐな道を進み、十勝岳連峰までもが見渡せる小高い丘までやってきました。ここは匠工芸の本社工場。この6月にIFDA ASAHIKAWA2017 (国際家具デザインフェア旭川2017)で発表された同社の新作家具と家具作りに対する思いを、企画課長の業天昭人(ぎょうてん あきひと)さんに聞きました。

株式会社 匠工芸
上川郡東神楽町南1番通24番地
TEL 0166-83-4400
http://takumikohgei.com


最先端のデザインで挑む

 今回の新作「FAWN(ファウン)」はコンパクトさリッチさを両立させたリビング、ダイニングシリーズ。「子鹿」を意味する名の通り、従来の大柄な家具とは異なるスマートさや細部にこだわるデザインコンセプトを基に作られました。

 デザイナーは数々の受賞歴を持つ松岡智之氏。デンマークでデザインを学んだ松岡氏によるシンプルで柔らかく丸みのあるデザインはどこか北欧を感じます。

 松岡氏とは3年前に開催されたIFDA2014のデザインコンペで、入選となった彼の作品「TAPERED」(テーパード)の試作協力を当社が担当したことがきっかけです。このチェアは翌年11月に製品化を発表。IFDAでの受賞をきっかけに今回2回目のタイアップ製品となりました。

性能と意匠の調和

 家具作りで必要とされるのは、家具としての安全強度とデザイナーが描く意匠との調和。デザインは非常にデリケートで、デザイナーの意思、思い、情熱が込められています。そこを簡単に崩したりせず、試作段階で安全性試験を重ねて製品として丁寧に磨き上げていきます。描き手のイメージを変えずに、永く使われる製品として設計し、職人が技術を存分に注げるよう工程を組んで、ようやくひとつの家具として生み出されるのです。

より永く使われるために

 生み出された家具は、お客様の元で永く使えるということも大事な要素です。従い、リペアは非常に大切な取り組みです。壊れない家具を作ることが前提ですが、万が一破損したとしても部品を交換することで何代にもわたって永く使っていただけることでしょう。より味わいが出るほどお客様に永く使っていただける家具を作ることも私たちの喜びの一つです。

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2017年7月23日 特集155号 ※記事の内容は取材当時のものです。
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