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>HOME >特集一覧 >VOL174「この豆、この味、八十四年目 夕張、北沢食品の豆甘煮缶」
特集「この豆、この味、八十四年目 夕張、北沢食品の豆甘煮缶」の表紙の写真です

この豆、この味、八十四年目
夕張、北沢食品の豆甘煮缶

ベーコンに使うのはデンマーク産ランドレース種の豚バラ肉。
一番人気の「花豆甘煮」。豆は紫花豆。からまる煮汁がまたうまい。

 炭坑町として栄えた夕張市。急激な人口減や財政破綻と、ネガティブな話題ばかりで注目されることも多い。町は大きくその姿を変えたが、変わらないものもある。豊かな自然、冷水山、町を流れる夕張川、そして、北沢食品の豆の缶詰だ。

創業は大正10年

 北沢食品の創業は大正10(1921)年。夕張メロンの誕生が昭和36(1961)年だから、それよりずっと前から地元産の農産物加工を担ってきた会社だ。

 社名を株式会社北沢食品工場といい、工場は創業時から今と同じ、夕張の南清水沢地区にある。コンパクトシティーを目指す夕張で、将来中心となる地域として計画されている場所の一つだ。訪れたとき、木造の工場は冬の一休みの時期に入っており、きれいに掃除された内部はひっそりとしていた。

 案内してくれたのは社長の谷全(たにまた)悦夫さんだ。

 近代的なハイテク工場のイメージとは対極にあるような、歴史を感じる建物。白く塗られた木の柱、年期の入った缶詰の機械、豆を煮る大きな釜が並ぶ。ほとんどが手作業だが、1日約7000缶くらいは生産できるという。

 屋根から落ちる雪が工場の窓を覆い、薄暗くなった倉庫の中、蛍光灯をつけると出荷を待つ缶詰の段ボールや豆の大袋が積まれているのが見えた。

「白花豆甘煮」。大きな豆がごろごろと。
光輝く小豆。「白花豆甘煮」。大きな豆がごろごろと。

創業者は長野から

 北沢食品は、長野県出身の北沢晋さんによって創業された。イチゴジャムの缶詰からスタート。その後、ホワイトアスパラの缶詰にチャレンジ。大きな失敗もあったが、数年かかって軌道に乗せた。昭和になってからスイートコーン、グリーンピースの缶詰も手がけるようになった

 煮豆の缶詰を始めたのは昭和10年頃だ。出身地の長野県でよく食べられていた花豆の甘煮の味を思い出しながら、夕張産の豆を使って正月用商品として作り始めたのが最初だったという。

 今、北沢食品はJA夕張市の子会社であり、現社長の谷全さんも元々JAの職員だ。今は夕張で採れる農産物の加工全般を行っていて、夕張メロンの加工品生産が大きな割合を占めるが、煮豆の缶詰は今年84年目を迎えるロングセラーだ。

変わらないデザイン

 北沢食品は夕張の人にはなじみが深い。パン製造をしていた時代もあり、夕張の学校給食のパンを一手に作っていたこともある。夕張の人は贈り物にこの豆缶を使うことも多かったので、紺色の帯に赤字のローマ字のロゴがついたこの缶詰に、見覚えのある人も多いはずだ。基本的な缶のデザインは今も変わらない。

 「ロゴを変えようかという話もあったんですが、もうこのデザインはいじれないな、ということになりまして」と谷全社長。歴史なのである。

創業大正10年。歴史を感じさせる工場の中は、掃除が行き届き、きちんと整頓され、清潔感が漂う。
創業大正10年。歴史を感じさせる工場の中は、掃除が行き届き、きちんと整頓され、清潔感が漂う。

厳選された6種の豆

 作っている煮豆缶は6種類。「ゆであずき」「くろ豆甘煮」「とら豆甘煮」「大正金時甘煮」「花豆甘煮」「白花豆甘煮」だ。かつてはほとんどの豆を夕張産でまかなっていたが、シカの食害や担い手不足で豆の生産が減っていき、現在、夕張産のものが半分入る花豆を除いては、夕張以外の道産の豆を使う。6種の中でいちばんの人気はこの花豆だという。原料は紫花豆だ。

 豆は契約している農家から仕入れる。等級の上のもの、乾燥度は16%以下が基準だ。入荷した豆は、工場でさらに選別する。基本的には人の目で、手で、チェックする。つぶれていたり、小さかったり、煮たときに美しく仕上がらないものを除いていく。手間のかかる作業だ。工場と事務所にアルバイトを含め、約15名が働く。

煮豆。経験が物を言う

 豆は水洗い後、一晩水につけ、灰汁抜き工程を含めて何回か煮る。最後に砂糖と塩を加えて仕上げる。この行程は家庭での煮豆づくりとほぼ同じだ。豆を煮る大きな釜は蒸気の熱で温められている。6種類の豆、それぞれに工程は微妙に違い、そこには長年の経験と技がある。豆以外の材料は、道内産のビート糖と塩のみが基本だが、黒豆だけは色と艶を出すため醤油等の材料が入る。

 煮上がった豆は、豆と煮汁を分け、最初に豆を缶詰に入れてから、煮汁を加え、フタをする。でき上がった缶詰は蒸気で加熱殺菌、その後冷却され、日付スタンプを打って完成。賞味期限は3年間だ。

光輝く小豆。「赤いダイヤ」と呼ばれたのもうなずける。
光輝く小豆。「赤いダイヤ」と呼ばれたのもうなずける。

社長の谷全悦夫さんに工場内を案内してもらう。豆を煮る大きな釜が並ぶ。
社長の谷全悦夫さんに工場内を案内してもらう。豆を煮る大きな釜が並ぶ。

フタを開けると…

 缶詰の底にはプルタブがついていて、缶を逆さにして開ける。

 いちばん人気の花豆の缶を開けてみる。煮汁の中から、大きな黒っぽい豆が顔をのぞかせている。箸でつまんで持ち上げてみる。しっかりと形が残り、その楕円形が美しい。ぱくっと一口。ふっくらとしているが、柔らかすぎず、硬すぎず、やっぱり豆を煮るのはプロに任せようと思うのはこういうときだ。甘味も素直で、煮汁まですすりたくなる。豆にからまる煮汁の絶妙な粘度は、それぞれの豆の特性でさらさらだったり粘り気があったり、自然のままだ。

 これまでに、甘煮以外の水煮や塩煮の豆を試作してみたことがあるが、商品化には至らなかったという。やっぱり昔ながらの甘く煮た豆。お弁当に入っているとちょっとうれしくなる、そんな懐かしい豆なのである。(文・写真:吉村卓也)

株式会社 北沢食品工場
夕張市南清水沢2丁目21番地
0123-59-7001
https://kitazawashokuhinn.jimdo.com/

※カバー写真「この豆な〜んだ?」の答えは中心部から、小豆、とら豆、黒豆、白花豆、紫花豆、大正金時でした。全部わかったあなたは豆通!

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『豆と言えば・・・』

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。
面白かったコメント、私も同じ!と思ったコメントは、ぜひいいね!を押してください。

1ページ

豆類はパンに限らず何でも載せたりすると美味しい感じがします!!
特に野菜にかけるとすごくうまい感じがします!!

野球好きさん

豆といえば大豆。健康食品の代表みたいに言われることもあって、豆腐は味噌汁の具として毎日欠かさず食べます。また、冷奴、湯豆腐、揚げ豆腐にしておでんもおいしい。また・納豆も毎日食べています。

ヤママヤさん

私はお豆はご飯に入れる、お豆ご飯が大好きです。
エンドウ豆を白米に混ぜて炊くと、綺麗に緑色になり、味も美味しいです。ぜひ試して見てください。

まぁさん

豆ご飯
北海道産の乾燥大豆を水で戻して、酒と塩で調味して、北海道産のお米と一緒に炊く。本当に美味しいです。

みうらっちさん

豆は枝豆に限ります。冬も食べたい。

7091Maxさん

私って、豆って好きだったっけ?…と考えてみたんですが、ピーナッツとかカシューナッツとかのおつまみ系の豆なら好きだなって…。

ぴのこだっくさん

納豆好きです!スーパーで納豆を買うときはあえて賞味期限が近いものを購入しています。

もともさん

夏に取れたての枝豆を茹でて食べるのが好きです。

まいこさん

豆は実はダイエットに効果的ということを聞いたことがあります。

おのっちさん

豆といえば私のおばあちゃんが作ってくれる豆料理。
そら豆もおいしいし、黒豆も甘くって美味しい。 お豆腐もいろんな形で出してくれて、食卓は色んなお豆さんであやどられていたなって思います。
映画チケットが当たったら久しぶりに祖母の家へ遊びに行こうと思います。

Daisyさん

枝豆が1番大好きで、黒豆の枝豆を実家で栽培しています。納豆もほぼ毎日食べてますし、お正月には黒豆を大量に食べてます。
五目豆が好きですが、自分で作るのが面倒なのでレトルトパウチで買ってきたり、缶詰を買ったりして手間を省いてます。

ちゃきんこさん

小学生の頃は苦手だった大豆の煮物も大人になるにつれておいしいと感じるようになった。

ハルさん

大豆、ヒジキと一緒に炊き込んだ大豆が好きです。

めんばめいさん

枝豆を塩ゆでにして食べるのが好きです。

アイヨリブルーさん

ピーナツ
潰してピーナツバターにしてパンに塗って食べるのが好き

みのりのあきさん

2ページ

ピスタチオ・・・結構長い間ハマってるマメです。

シスカルメンさん

好きなのは、赤飯に入っている小豆です。

たぶえむたぶさん

豆といえば我が家は枝豆ですね。お酒のおつまみにもぴったり。冷凍の枝豆は手軽に食べれるのが一番です。旬の時期の、採りたての毛のついた枝豆はとても甘くて美味しいですね。最近はデパートで仙台名産のずんだもちなども売っているので、黒いあんことは違った美味しさも楽しんでいます。

たかさん

納豆をよく食べています。
4パック組のを買って、2パックずつ食べます。
わさびとめんつゆをかけて食べるのが好きです。

あっしゅさん

豆といえば納豆。アツアツご飯にのっけていただきます。

へきさむーんさん

豆パンは好きです。

はなちゃん3さん

豆は豆でもコーヒー豆のチョコレートが好きです。チョコレートでコーティングされたコーヒー豆がすごくおいしいのですがあまり出回っていないのかあまりお目にかかれません。

カッキーさん

豆の加工食品として、豆腐が大好きです。最近は寒いので湯豆腐が最高です。

リキリキさん

 毎日、大好きな「納豆」を食べる事。 日本人で良かったと思うよ!

Kちゃんさん

お赤飯が大好きです。豆を取って食べています。

いむさん

小豆が大好きです。近所の人に小豆の作り方を教えてもらい
豆から小豆を作りました。
やっぱりあんこにして、パンやお餅に付けて食べます。

ブースカ母さん

豆ごはんがずっと苦手でしたが、塩の入ってないものを食べて大好物になりました。
塩の有無でこんなに味が変わるんですね。

かちんさん

原則的に、豆科の植物は連作(毎年、同じ畑で同じ種類の作物を作ること)が出来ません。
それをしたら、連作障害(苗が育たなかったり、収穫量が落ちたり)が起きます。
従って、連作障害を防ぐためには「連作障害忌避剤(高価)」を使うか、或る豆を栽培・収穫した後は、大根なんかの根菜類を作ったりし、土壌改良をします。

ナンゴウヨンさん

母の作った煮豆が大好きで、よく食べています。

レイチェルさん

意識して豆を食べている訳ではありませんが、無性に「ひじきと豆の煮物」を身体が欲しがる時があり、お惣菜屋さんで大量に買い込んできて、むしゃしむしゃ食べています。

がっちゃんまんさん

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