ピックアップ映画「旅と日々」 １１月７日～

強い日差しが注ぎ込む夏の海。文庫本を片手に海を眺める男が、少し陰のある女と出会う。ただ海を眺めて時を過ごすふたり…。脚本家の李は「自分には才能がない」と行き詰まりを感じて、形見分けでもらったカメラを持って旅に出る。
　冬、トンネルを抜けるとそこは一面の銀世界。屋根に雪が積もりその重みで今にも崩れそうなおんぼろ宿にたどりつく。そこでものぐさな宿の主・べん造と出会う。宿と言えるのか、暖房もなく、まともな食事も出てこない、布団も自分で敷く始末。
　けれどもべん造のなんとも言えない雰囲気に居心地は悪くなさそう。
　ふたりはさぐりさぐりの会話を交わす。その絶妙な間合いが面白く、言葉を発するごとに息が白くなり（私たち北国暮らしにはそれがどのくらいの寒さかわかりますね）可笑しみがこみあげてきます。
　原作はマンガを芸術の域まで高めたとフランスでは「漫画界のゴダール」とも評される稀代の漫画家つげ義春。監督は世界が注目、「ケイコ　目を澄ませて」「夜明けのすべて」の三宅唱。スイス・ロカルノ国際映画祭最高賞・金豹賞＆ヤング審査員賞W受賞作品です。
　特別じゃない旅が、ちょっとだけ毎日を変える。人生に寄り添うような優しくあたたかな眼差しがわたしたちの心を満たしてくれそうです。
©2025『旅と日々』製作委員会

上映スケジュール

※★印は特集・特別上映のため招待券はご利用いただけません。

１０月１７日
「さよならはスローボールで」（アメリカ・フランス　98分）
１０月１８日
「グランドツアー」（ポルトガル・イタリア・フランス・ドイツ・日本・中国　129分）
「ショーン・ベイカー初期傑作選」　★「テイクアウト」「プリンス・オブ・ブロードウェイ」「スターレット」
「九月と七月の姉妹」（アイルランド・イギリス・ドイツ　100分）
１０月２５日～
「ブラックバッグ」（アメリカ　94分）
「ホーリー・カウ」（フランス　92分）
「ピアノフォルテ」（ポーランド　89分）
「荒野の誓い」～１２ヶ月のシネマリレー （アメリカ　135分）　★
１１月１日～
「フジコ・ヘミング　永遠の音色」（日本　91分）
「オリヴェイラ2025　没後10年　マノエル・ド・オリヴェイラ特集」　★
「アブラハム渓谷　［完全版］」ほか4作品上映
「ウナイ　透明な闇　PFAS汚染に立ち向かう」（日本　106分）
１１月７日～
「旅と日々」（日本　89分）
「ボン・ヘッファー　ヒトラーを暗殺しようとした牧師」（アメリカ・ベルギー・アイルランド　132分）
１１月１５日～
「女性の休日」（アイスランド・アメリカ　71分）
「ザ・フー　キッズ・アー・オールライト　HDレストア版」（アメリカ・イギリス　110分）
「アニタ　反逆の女神」（アメリカ　113分） 「炎はつなぐ」（日本　122分）