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>HOME >特集一覧 >VOL181「当別にはなぜ、「北欧の風」が吹くのか。」
特集「当別にはなぜ、「北欧の風」が吹くのか。」の表紙の写真です

-当別町はなぜ“北欧”?
-話せば長いけど、森の景色が始まりなのさ。

にじ色こども食堂

 札幌の隣町、当別町の道の駅には「北欧の風」というサブタイトルがついている。町内には丘ひとつがまるごと北欧デザインの住宅地「スウェーデンヒルズ」があるし、姉妹都市はスウェーデンのレクサンド市という林業の町。とはいえ、なぜ道の駅まで北欧?とちょっぴり疑問を抱きつつ、まず当別町役場に行ってみた。

北欧とのなれそめはスウェーデン大使のひと言

 当別町の人口は1.6万人。その歴史は1872年、旧仙台藩の岩出山伊達家の入植に始まる。一見遠い北欧とのなれそめを、宮司正毅町長に伺った。

 「1978年に、当時スウェーデン大使だった都倉栄二さん(作曲家 都倉俊一さんの父)が町へ来られた際、丘と森の風景を『スウェーデンにそっくりだ』と言ったそうです」

 都倉大使は国際交流拠点を提案。道内発祥の企業、トーモクが、スウェーデンの住宅建築技術を参考にスウェーデンヒルズの開発を行い、1985年から入居が始まった。同社で採用した木製サッシは、その後1987年に当別町と姉妹都市となったレクサンド産だ。相互訪問交流などが続いている。

 宮司さん自身も、実は移住者だ。欧州三菱商事社長として世界を飛び回っていた宮司さんは、一時帰国の途中、空港ラウンジで当別町に出会った。

 「雑誌で偶然スウェーデンヒルズの広告を見て、そのまま予定を変更して北海道へ来てみた。そうしたらあんまり素晴らしいから、その日のうちに家を決めちゃった(笑)」

 夫人の健康のために冷涼で環境の良い土地を探していたことに加え、電柱が埋設された美しい街並みは住み慣れたヨーロッパを思わせた。

 静かな引退生活を望んだ移住のはずが、宮司さんはその後、様々なタイミングが重なって町議への出馬要請を受けることに。そして2013年に町長に当選し、今は町の底力を表出させることに力を注ぐ日々だ。

 「基幹産業の農業は200品目を生産しており、その加工販売を町内産業にしていきたい。町の62%が森ですから熱源は木質バイオマスがあり、小水力や太陽熱による発電が増えています。道の駅の暖房も地熱利用で、化石燃料を使っていないんですよ」


宮司正毅・当別町長。「町内産業の6次化のため、農産物や加工品の販路としても、道の駅は非常に有効です。出店した町内事業者の方々にも、売上アップの効果が出始めています」

都会と田園の間にある豊かな暮らしのショーケース

今年2019年9月で2周年を迎えた「北欧の風 道の駅とうべつ」は国道337号沿い、当別町で最も札幌寄りの地域にある。昨年度の来館者数75万人、道内に125ある道の駅の平均が約40万人というから、かなりの人気だ。

 一歩入ってハッとしたのは、空気の爽やかさ。尖った大きな三角屋根は吹き抜け天井で窓が多く、地元近郊産のカラマツ材の壁が何とも気持ちがいい。公共施設にありがちなポスターや張り紙などは極力減らし、内装デザインを生かしている。  運営会社tobe(トゥビィー)広報の中田ひかりさんと、当別町道の駅係の鰐渕真太郎さんが、中を案内してくれた。

 「札幌中心部から一番近い道の駅ですので、お客様像は、札幌の北区や東区を含む20km圏内の40代女性です」と中田さん。地域と姉妹都市の特産物が並ぶTOBEST(トーベスト)ショップ、地元米のだんごやテイクアウトフードのコーナー、奥にはレストランもある。別棟の農産物直売所では、生産者を明示した野菜やお米が買える。一言で言うなら、近郊からのドライブ客が欲しいものが揃っているのだ。狙いが定まっているから館内全体の統一感があり、心地よいのだろう。

 この一貫性は、どのように実現したのだろう。設立前から関わってきた鰐渕さんに経緯を聞くと、農商工事業者を含む検討委員会が2014年に定めた基本計画で、既にグランドコンセプトが制定されていたという。

 「大きな目的は、まず当別を訪れてもらうこと。来て頂くことで当別町を知って頂き、経済活動、農業振興が活性化し、都市農村交流にもつながる。その入口として、当別の食をPRすることになったのです」と、鰐渕さん。運営するtobeは第三セクター方式で農協、商工会、銀行などから出資を受け、その結果、多くの人が当事者として関わっている。


tobe直営スイーツコーナー。棚を飾る民芸の馬、ダーラヘストはスウェーデンの象徴だ。

料理人をやる気にさせた 道の駅プロジェクト

 道の駅のプランが進む中、飲食ゾーンの企画運営を打診されたのが、札幌でイタリア料理店「トラットリア・ピッツェリア/テルツィーナ」を営む堀川秀樹さんだ。「料理人にとって都市部に近い農村はとても魅力的。また、運営にとって肝心な設備やレイアウトにも意見を取り入れてくれた」といい、当別町特産の米、小麦、野菜などで、焼きリゾットとパスタのメニューを提案した。

 堀川さんは地域ごとの料理を尊ぶイタリア料理の視点で、「北海道イタリアン」を提唱したシェフだ。イタリアでは地産地消は当たり前で、土地固有の味覚が旅の目的になる。それだけに「地方を発信するちょっとしたアクセントになれたらうれしい」と言う。

 「もう一つの動機は、人材不足の時代に合った飲食業モデルの実証です。実際、料理人以外の仕事は町内のパートさんや学生さんが頑張ってくれています」と語ってくれた。

 別れ際、tobeの中田ひかりさんはこう話してくれた。

 「私は札幌在住なんです。この仕事に就いた時、お隣の町のことを何も知らなかったと気づきました。当別が札幌の台所と言われていること、食卓に欠かせない米、麦、豆の産地であること。今は農家さんの声を聞いて当別の食材に愛着を感じるようになりました。だからこそ、ここを起点にして、皆さんにも当別を少しでも知って頂きたいんです」

 道の駅は、町のショーケースだ。関わる人々は、まちの財産を生かし育てている。北欧というイメージがその思いに統一感を持たせる。人々が動いて起こす北欧の風は、爽やかで希望に満ちていた。
(文・深江園子/写真・吉村卓也/表紙写真・山本由紀夫)

堀川シェフ。
道の駅内のカフェレストラン「カフェ テルツィーナ」で、アルバイトの地元高校生を指導する堀川シェフ。 「未来の人材にとっても、このお店が社会経験の場になれば嬉しい」と堀川シェフは目を細める。

焼きリゾット
メインの焼きリゾットはイタリア料理の技法で当別名産のお米が主役。地元の野菜や肉を取り入れて地元米の新たな魅力を引き出した、いわば「当別イタリアン」だ。

「北欧の風 道の駅とうべつ」
当別町当別太774番地11
TEL:0133-27-5260

◆道の駅とうべつ 
9:30〜18:00(4月下旬〜11月下旬)
10:00〜18:00(11月下旬〜4月下旬)

◆カフェ テルツィーナ
11:00〜18:00 (LO 17:00)

◆農産物直売所
9:00〜17:00(4月下旬〜11月下旬)
※11月下旬〜4月下旬は冬期休業


道の駅の周りは広大な農地。建物の後ろに夕日が沈む。空も広い。

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『道の駅へ行こう!』

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。
面白かったコメント、私も同じ!と思ったコメントは、ぜひいいね!を押してください。

1ページ

温泉入浴施設が併設されている駅がうれしいです。

マネーさん

北海道旅行中に、オバケキャベツを見ました。旅行中なので買うわけにもいかず、残念でした。

ゆきかがわさん

長沼はよく行きます。野菜直売などが魅力ですね。

のるんさん

淡路島が大好きでよく行きます。
その際必ず寄るのが道の駅うずしお。
こちらは日本で1番うずしおに近い道の駅です。ご当地バーガーグランプリで全国に名を馳せた淡路島バーガーの本店もあり。淡路島玉ねぎソフトも大人気で長蛇の列です。お土産の種類も沢山あって見ているだけで楽しいです。玉ねぎキャッチャーは60分待ちですが玉ねぎだけでこんなに楽しめる道の駅最高です。
そんな最高な道の駅で鳴門海峡の沈む夕陽を見ながらプロポーズされたのも私の大切な思い出です。これからも家族みんなで遊びに行きたいです。

ここみさん

道の駅へ行くことが目的になるような魅力的なところがたくさん増えているみたいで、近いところでよいのでこの秋、行ってみたいです。

Qちゃんさん

その土地の新鮮な野菜を購入しています。

あさひさん

日帰りバスツアーなどで
立ち寄った時に利用しています。

マンゴーさん

主人の転勤で家族で2年間過ごした熊本は、すべての県内道の駅を回りいい思い出です

オリジナルリリーさん

単身赴任で宮城に居たときは、県内各地の道の駅を周り楽しんでいました。

チバタロウさん

北海道道の駅あぷたは、うに丼が木の土台ごと出てくる。うに丼を目当てに行きました。内浦湾を眺めながら、食べたうに丼は、北海道に来たことを感じさせてくれました。
北海道の道の駅でアップル余市に行った際には、道の駅内で購入できる記念のシャトル切符の様なものがあります。日付け入りで、とても記念になります。好きな人と行った時、サプライズで切符をもらいました。とても嬉しかったことを覚えています。

まるさん

車で旅行に行った時に、その土地の特産品などを購入するのに立ち寄ったりします

パンナさん

友人と札幌からトマムリゾートに行った帰り道、夕張メロードと占冠村の道の駅に立ち寄りました。特に占冠村の道の駅は綺麗で館内も広く、見るところが沢山あって楽しめました。北海道旅行は目的地まで道のりが長いので、道の駅が充実してるかどうかで運転のコースを決めることもあります。近年の道の駅はその地域の特徴を活かして工夫された暖かい雰囲気があって、ほっとできる憩いの場だと思いました。また色々行ってみたいです。

いちぼくろさん

地元の名産品がいろいろあって好いですね。

いぐっちゃんさん

地元の道の駅090-2573-5693産直の商品を販売していますので毎週のように新鮮な野菜を購入しています。

愛知の生一本さん

各道の駅の美味しい物が食べれて嬉しい!数年前に北海道の全部の道の駅を回りました。今は増えて120も有るのですね。又巡りたくなりました!

ronさん

2ページ

車に乗らないので道の駅には縁がないです。
生活圏にもありませんし、TVなどで話題になっていると、近所にあればいいのにな~と思いながら見ています。

にゃあさん

昔は道の駅なんて無かったから行ったことない。興味在りだけど、車で行かないし。。。。

パステルさん

道の駅で買える野菜はスーパーより新鮮な気がする。

キャットさん

岐阜県海津市にある、クレール平田のよもぎソフト、夫が大好きでよく食べに行ってます。

ポコポコさん

新鮮な野菜と、手書きのコメントなどがあると、買いたくなります。
それぞれの店の性格や特色が違って、おもしろいと思います。

りんごさん

道の駅飛騨白山

みちさん

高齢期に入った現在、「道の駅」の利用は、もっぱら墓参りの時に使用する高速道路のトイレ休憩用ですわ~。

あおちゃんさん

恵庭の道の駅が、ソフトクリームがカボチャ味があって美味しいです

みーママさん

道の駅は、その土地ごとに雰囲気や特色が違うので、時間が少なくて他の観光地を訪れることができない時でも、気軽にその土地の空気感を感じることができるので大好きです。休憩という名目で、訪れますが、実際は道の駅それぞれの造りや特色、そこにしかない美味しい食べ歩きグルメをとても楽しみに利用しています。

もちもちさん

道の駅未利用です

まついなさん

トイレとか食事それに地場産品の購入

AFCの神様さん

まだ利用したことがないです

ぴろりん☆さん

実家がある、湧別の道の駅。旧名寄本線・旧湧網線の鉄道が旧中湧別駅の駅跡に設置され、当時のホームや跨線橋、鉄道車両などが保存されている。おじいちゃんたちが、利用していた鉄道と一緒に、孫と写真をとったり楽しめる素敵なところです。

やよさん

普段から地元の道の駅によく行きます
地元農家の野菜が新鮮で美味しいし、変わったジェラートが売っていて面白いです。
先日は牛肉ジェラートが売っていましたが、ちょっと勇気が出ず食べられませんでした。

あささん

数年前に奈井江の「道の駅」に両親を連れて行きました。父が「ここに自分の小学校があったんだ。」と言ってとても懐かしそうでした。ログハウスの建物で、緑に囲まれていて、ほっとできるスペースでした。現在、父は入院中ですが、また、一緒に行ける日を願っています。

りえさん

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