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>HOME >特集一覧 >VOL167「野球場へ行こう!」
特集「野球場へ行こう!」の表紙の写真です

 札幌の円山球場、旭川のスタルヒン球場に愛着を持つ北海道人は多い。札幌ドームに主役の座を譲ったとはいえ、道内の野球ファンや関係者にとって、ここが数多くの思い出をはぐくんだ特別な場所であることは変わらない。(その思い出の数々は6ページの「投稿塾」で)。特に、高校野球、学生野球で決勝戦の行われる両球場は、「聖地」とも言える。

 しっかりと整備されたグラウンドは今もその輝きを失わない。きれいに刈り込まれた芝、まっすぐに引かれた白線。どんな熱戦の後にも、次の試合までには新品のグラウンドが現れる。その舞台裏を見ようと、両球場を訪ねた。

円山球場 オープンは昭和10年

 円山球場を含む総合運動場を管理するのは、市の委託を受ける「さっぽろ健康スポーツ財団」。場長の駒井広行さんが案内してくれた。通算15年間、円山球場の整備にかかわるベテランだ。

 整備道具が置かれた部屋を見せてもらう。手作りの整備用品がところ狭しと並ぶ。太い釘を何本も打った、土を掘り起こす道具、何種類ものシャベル、個人用の特製レーキ、手作りのライン引き道具・・・。「ホームセンターでいろいろ材料買ってきて作ってるんです」と笑う。


ベースラインを引く。まっすぐに引けるようになるには経験が必要だそうだ。円山球場で使われているのは、よくある車輪付きのものではなく、手製のライン引き道具。ここに体に害のない専用の白粉を入れて、ガイドロープに沿って引いていく。この道具も個人の好みがあるそうで、微妙に違うモデルが複数ある。(円山球場)

整備道具を置く部屋には、さまざまな形のシャベルが整然と並ぶ(円山球場)
整備道具を置く部屋には、さまざまな形のシャベルが整然と並ぶ(円山球場)

グラウンドの土を掘り返す道具は自家製。太い釘がたくさん打ってある。(円山球場)
グラウンドの土を掘り返す道具は自家製。太い釘がたくさん打ってある。(円山球場)

ベースはすぐ汚れる。洗って、ライン引きに使う白粉を水で溶いたものを塗ってきれいにする(円山球場)
ベースはすぐ汚れる。洗って、ライン引きに使う白粉を水で溶いたものを塗ってきれいにする(円山球場)

 球場の整備は雪解けとともに始まる。3月中旬からグラウンドに融雪剤をまく。4月上旬に雪が消えたら、下旬にオープンするまでは忙しい日々が続く。まず、内野グラウンドの表面を堀りおこす。土を軟らかくして均一になじませてから、最後にローラーをかけ均一に固める。土は、北海道の追分産のものを使い、必ず2ミリ網のふるいを通す。細かい粒だけがグラウンドの土となる。

 「プロが来ていたころにはガチガチの固めに、高校生やアマチュアのときには少し軟らかめに調整します」と駒井さん。雨が降ると、砂を増やしたりして水はけを調整する。外野の天然芝は耐寒性の強いケンタッキー・ブルーグラスだ。もちろんタンポポは一つもない。

 夏期に酷使されたグラウンドは、10月中旬にシーズン中の使用を終える。痛んだ芝を張り替え、新しい種をまき、雪が降るのを待つ。

 2000年を最後にプロ野球の公式戦はなくなったが、その後何度か不定期にセパ交流戦の試合が行われた。

 「プロは来なくなりましたが、グラウンド整備の基本は変わっていません。いつも通りの最高の状態を作ってます」と駒井さんは語ってくれた。

スタルヒン球場 個人の名を冠した球場

 スタルヒンの名は、旭川で育った亡命ロシア人で、戦前から戦後にかけて日本の野球界で活躍した名投手、ヴィクトル・スタルヒンにちなむ。

 球場外に立つ彼の銅像がまず出迎える。正面ロビーにはスタルヒンのレリーフや写真がずらりと展示されている。

 球場を管理する旭川市公園緑地協会職員で、花咲スポーツ公園管理事務所の建部正和所長に案内してもらい、グラウンドに降りてみる。周りに高い建物がなく、見えるのは広い空と緑ばかりだ。屋根のない観客席、その解放感は特筆に値する。


球場ロビーにはスタルヒンにちなむ数々の品が展示されている。少年時代の学生服を着たスタルヒンにも出会える。

マウンドは傾斜を正確につけるのが重要なのだという。スタルヒン球場では大きな「定規」を使って、ブルペンもグラウンドも同じ角度になるように調整する。
マウンドは傾斜を正確につけるのが重要なのだという。スタルヒン球場では大きな「定規」を使って、ブルペンもグラウンドも同じ角度になるように調整する。

 グラウンド整備の年間スケジュールはほぼ円山球場と同じ。外野の芝にはケンタッキー・ブルーグラスに加え、寒冷地でも成長の早いペレニアルライグラスをブレンドしている。

 スタルヒン球場では今も年に2回、プロ野球の日ハム戦が行われている。

 「試合の前には日ハムの専属グラウンドキーパーも来て、ウチの職員と一緒に整備しています」と建部さんが説明してくれる。

 ピッチャーズマウンドはグラウンド整備の中でも特に時間をかけるところだという。投手の脚が着地するところが大きく削れるので、そこだけを別種の固い土で固める。「大谷選手が投げたときは、背が高いので着地点がすごく前になる。普段は固めないところをがっちり固めましたね」と思い出を語る。


北海道追分産の土は、2ミリのふるいにかけられ、それより大きなものははじかれる。(スタルヒン球場)


このベースに戻ってくるために、選手たちが全力を尽くす。スパイクで踏まれてすぐに痛むので、1シーズン5、6回は交換される。(円山球場)

 両球場とも、夏の高校野球はいちばん盛り上がる大会だという。球音、歓声、ブラスバンドの音楽が、屋根のない広い空に突き抜けてゆく。爽やかな暑さの中での高校野球観戦は北海道の特権だろう。高校野球の南北北海道大会の決勝戦で入場者のピークを迎えたあとも、大学野球や社会人野球など、10月中旬までまだまだ野球観戦が楽しめる。
(文・写真:吉村卓也)

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『野球場に行こう!円山球場、スタルヒン球場の思い出』

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。
面白かったコメント、私も同じ!と思ったコメントは、ぜひいいね!を押してください。

1ページ

札幌円山球場は、高校野球決勝戦に小樽代表北照高校が勝ち残り、この高校の保護者であると偽って応援させてもらった思い出が浮かんでくる。

タロウさん

去年の地方決勝戦が印象に残っています。近くに住んでいるので、決勝戦は観に行きたいと思い、道外出身ではありますが、観戦しました。
点のとりあいでシーソーゲーム。
野球に興味なかった私でもハラハラドキドキ!
円山球場という近くで観られる球場だからこそ感動が伝わったのだと思います。それから高校野球が好きになりました!

グーミックスさん

学生時代、アパートの小母さんに円山球場の巨人戦のチケットを貰い、観戦に行きました。一塁側で「新浦投手」が投球練習をしていましたが、余りの速さに首が左右に振れていた記憶があります。

ライオン丸さん

旭川北高出身の私は、定期テストの近くになると聞こえるスタルヒン球場の音が好きでした。授業が聞こえなくなるほどの放送に夏が来たなと感じていました。

なっちゃんさん

高校野球の応援に出かけた時に、応援の仕方やマナーも学校によって違いがあるので、それも楽しみで円山球場に何度も足を運んだ思い出があります。

HIDAMARIさん

円山まで祖父と歩いて動物園に行き、そのあと円山球場にも立ち寄りたまたまやっていた社会人野球を見て帰った思い出。球場での硬式級の打球音がなぜかよく覚えている。

りんごちゃんさん

雨の試合

ねぎさん

円山球場は子どもの頃に行ってた記憶があり懐かしいです。あのくらいの広さがちょうど良い気がします。

みるさん

旭川のスタルヒン球場で数年前、旭川出身のスタルヒン選手の長女ナターシャさんが始球式で投げたことがメディアに取り上げられ、スタルヒンも天国で喜んでいると思いました。

ときめきさん

開催される高校野球の代表選抜試合を観戦した思いがある。

タニさんさん

 定年になったら、両球場で、ゆっくりと観戦したい!!!

ゆーちゃんさん

亡くなった夫とよく散歩がてら円山球場の近くまで行き、歓声を聞いていました。

ちーさん

祖母の家が宮の森なのでよく球場の音が聞こえました。最近祖母が亡くなり、家に誰もいなくなり寄ることもないので懐かしい思い出です。

ぼーさん

円山&スタルヒン球場にはなまら(?)思い出があるし青春です。野球が好きなので日焼け止めを塗るのも忘れるくらいプロ&高校野球は見に行っていますし、外野の芝生で敷物を敷いて食べて飲んでヤジも飛ばしています(笑)天候に左右されるのも悪くはないですよ!!

るいるいさん

こんにちは。息子が小さな頃リトルリーグに入っていたので野球は外でプレイするものだと思っていました。外野の芝生に敷物を敷いて作った弁当をみんなで食べて応援していましたから懐かしい・・・・・話を聞くと円山&スタルヒンは社会人になった現在でもあこがれの球場だと感じているそうです。

せっちゃんさん

2ページ

高校のとき、友達の付き合いで学校をサボって高校野球の予選を見に行きました。野球に興味が無かったので面倒でしたが、帰りの円山公園の景色と空気が美味しかったのを覚えています。その何年か後に、その友人に今度は札幌ドームでの嵐のライブに誘ってもらい、今思い返せばその友人がいなければ円山球場にも札幌ドームにも行って無かったかもなぁと思いました。

yukariさん

円山球場 以前、職場の高校野球部が決勝に出たので全校応援で行きました。
負けましたが熱気溢れる戦いに感動しました。

ユリさん

円山球場身近に見られて良かったですよね。

あいこさん

北海高校出身なので毎年応援に行っていた、半強制だったかも・・・

siroiwaさん

円山球場は高校野球の予選で、甥っ子達を応援するため何回か見に行った遠い記憶が残っています。
今はもうみんな結構な『オジサン達』になっており、昔の面影は全然残っていません。

パイプ伯父さんさん

野球バカで見るのもプレイするのも大好きです。私の時代は外で真っ黒になるまで野球漬けというのがあたりまえでしたので現在のように天候に左右されないドームなんて考えられませんでした。これも時代の流れでしょうか。円山&スタルヒン球場のマウンドは憧れです!!高校野球を見に行くとついつい自分の青春と重ねあわせてしまいます。でも日常はファイターズの年間シートを購入してドームで快適に観戦しています(笑)

トーボさん

炎天下

キャボさんさん

在職中に都市対抗を応援したのが思い出されます❗ドームは楽だけど、外球場は季節感があって楽しいです。

みんみんさん

円山球場の外野席で見た巨人戦を思い出します。

氷下魚さん

巨人戦を見ることが夢でしたね。円山も立ち見席をGETするのが精いっぱい。そういえば、イチロー見たのを思い出しました。あれは、あれで良い思い出ですね。雨で中止かどうかハラハラしたりして。

つうたんさん

スタンドにまで入り、子供がおやつを出すのを待ち構えているカラスに驚きました。親が離れ一人で待っている子供に大人たちが大きな声で「リック、開けるな!」と言いながら カラスを追い払っているのが いつまでも印象に残っています。

ラビットさん

施設に勤めていた頃に全道職員対抗の試合があり、初めての公式球場の広さに驚き、足元の震えを抑えながら「レフトだけ広過ぎる」と文句を言いながら守っていました。

熊五郎さん

どちらも行ったことないです。

hatsukaさん

札幌ドームに初めて行ったのはスマップのコンサートです。大きな会場に心がざわざわしました。帰り道の進まないことにびっくり。地下鉄も混むし・・・。コンサートは楽しかったですが、いい思い出ではないかもです。

育ブーちゃんさん

授業中、隣のスタルヒン球場から予選会の声援が聞こえてきたのをおもいだします。母校の応援歌は”熱せる血潮や堅持の剣”だったかな???

ニペソツさん

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