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>HOME >特集一覧 >VOL190「花を飾ろう!」(2020年6月16日)

花の品種改良のスピードは速い。バラ咲きの白、小さなボール型の黄色、艶のあるコスモス咲きのクリーム色。どれもキンポウゲ科の球根草、ラナンキュラスのバリエーションだ。
(札幌の「ブーケ・ド・ソレイユ」店頭にて)

部屋で過ごして知った、 花がくれる生命力。

むかわの花農家、内海さんのアルストロメリア

花は生鮮品。そこに起きているアンバランス

 北海道の市場流通で最も大規模なのは、札幌花き地方卸売市場。そのホームページによれば、道内外産を合わせた切花の取引高は、4月で前年同月比の71.4%だった。市場外取引を行う札幌の商社、ブランディアによれば、3~4月の取扱高は前年比8割ほどで、取扱量も値段も下落したという。

 「4月の市場は道外産の花が主流です。出始めた道産の花も例年のような値段がつかず、種類により出荷調整が行われました。また、航空便も減り入荷が安定せず、厳しい状況でした」(ブランディア代表取締役 鈴木幹也さん)。売り上げの柱となるウェディングやホテルなどの業務用と、卒業式や送別会などのイベント用の売上が大幅に減少。一方、スーパーの花売場はお客さんが食料品のついでに買えるため堅調だ。鈴木社長は「これからは、普段づかいのお花を一輪でも二輪でも買って頂くことが、産地と花屋さんだけでなく、皆様のお祝いや催しの花も守ることになるでしょう」という。

札幌の花の卸売会社ブランディアの鈴木係長。東京都内の花き市場で働いていた頃に東日本大震災が起き、大量の花が行き場を失う経験をした。「困難に出会った時、人が花を求めるのは間違いありません」

花農家の内海さんとアルストロメリア。北海道では花は夜に輸送される。日中に刈り取り、規格と数を揃えて箱に収め、温度を下げ(予冷)、集荷のトラックを待つ。花はむかわ町内の「ぽぽんた市場」でも買える。

花農家と、ロスフラワーへの取り組み

 4月末、JAむかわ「鵡川花き生産組合」を訪ねた。12軒の花農家が30年近くスターチス、アルストロメリア、トルコキキョウなどを生産する。アルストロメリアを主力作物とする4軒のひとつ、内海(うちうみ)宏昭さんは、両親と奥さん含め計7人で1500坪ものハウス栽培を行う。電気関係の設計技術者だったが、農業を継いでみると、アルストロメリアは地道な作業の積み重ねが品質につながる。「休みは少ないけれど、性分に合っている」。苗を一度植えると4年間収穫でき、どちらかというと脇役の花だから需要は安定している。それでも「市場の状況を見て生産調整をするのは、値崩れを避けるため。今は、丈を80cm、70cm、60cmと分けた規格のうち、70cm規格を止めて数量を調整しています」という。 この日、内海さんのハウスには他にも来訪者がいた。札幌のフローリスト集団で店舗展開も行う「GANON FLORIST」の清野光代表と會津脩平さんだ。同社はこの春、花の廃棄に一石投じる「ロスフラワー救済プロジェクト」を立ち上げた。生産者と市場から花を購入し、花で笑顔をつくる企画を練っており、5月にはクラウドファンディングで資金300万円を集めた。「人が集まるイベントは時期を待たなければなりませんが、できるだけ多くの方を一輪の花で笑顔にしたい」という。海外にも拠点展開する同社だが、産地に訪問する機会は少ない。二人は試験栽培のハウスで、内海さんが今年植えた新しい品種のひとつを「これは売れますね」と手に取っていた。内海さんの組合では3年前から、取引先の担当者に「花屋さんを産地に案内して欲しい」と声がけしている。「アルストロメリアは年間100種類ほどが発売される花種です。作りやすさや収量だけでなく、花屋さんからお客さんのニーズを聞いて選べたらいいなと。それに、お互い顔が見えるとやる気が湧くでしょう?」と内海さんは言った。自然も作物も、人を待ってはくれない。道外産地が一息つく夏に、北海道産の花の最盛期がやってくる。

千歳産の温室スズラン。4月は他にも札幌、真狩、旭川などが出荷している。札幌では市の花として歌に詠まれたり、公園にも植えられ芳香を放つ。グラスに挿せる気軽さで、小さな贈り物にも使われる。

今だから花を。 花屋さんが聞いた声

 札幌の「ブーケ・ド・ソレイユ」は、外看板のないアトリエ形式で40年以上続く花屋さんだ。繊細で存在感のあるブーケやアレンジメントで定評があり、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌)の初期の会場装花も手掛けた。フローリストの前田まさこさんは「(店を)休もうかとも思ったけれど、こんな時こそお花をという方がいて本当にありがたい」という。注文電話で、花に気分が救われたと聞くことが増えた。「今だから一層、お花の生命力みたいなものを感じるのかもしれません」(前田さん)。

 同店と取引のあるブランディアの鈴木雄太係長も、似た体験がある。「東日本大震災の時を思い出しますね。当時勤務していた東京の世田谷花き市場で、花が大量に残った。それを社員総出で道ゆく人にお配りしました。生の花を手にした時の笑顔が、強く印象に残っています」。

 そんな今年の母の日、花は買われたのだろうか。札幌・4丁目プラザ地下の花店などを経営する「ブロックコーポレーション」では、昨年スタートしたネット通販が昨年対比で10倍近く売れた。数軒の花屋さんに電話で聞いたが、地方発送やギフトが昨年より伸びて、しかも5月中続いていた。この春の緊急事態宣言を受け、花の業界団体は「母の日」から「母の月」へ転換しようというPRを行ってきた。ポスターなどを店頭で目にしたことがあるかもしれない。需要が分散すれば花の価格が安定し、花屋さんの繁忙ピークもなだらかになるのだ。今年の母の日は、帰省できないゴールデンウイークを過ごした人々が花を贈る機会が増え、これが一気に広まった。ここでも、普段は見えないモノと暮らしの関係が、少しずつ見えてくる。

 花は作り手の見えにくい農作物だ。想像してみる。もし誕生日や結婚式に花がなかったらどうだろう。何を選ぶかは、何を残したいかと同じ意味を持つ。家にいようが外に出ようが、暮らしの中で見えない繋がりに気づき、一票を投じる。新しい暮らし方というのが、そうした事であればいいなと思う。 (文・深江園子/写真・吉村卓也)

大手百貨店などの装花も行うGANON FLORIST。花の廃棄を減らすロスフラワープロジェクトに集まった寄付のリターンを制作していた。束ねてぶら下げるスワッグは、そのままドライフラワーになる。

ブーケ・ド・ソレイユ店主の前田さんは、アトリエで接客する中で、産地や農園を伝える。この日のおすすめは長沼町産のラナンキュラス。「この農家さんは、珍しい種類を少量ずつ作る方なんですよ。」

 

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2020年6月16日 特集190号 ※記事の内容は取材当時のものです。

『花を飾ろう!』

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。
面白かったコメント、私も同じ!と思ったコメントは、ぜひいいね!を押してください。

1ページ

娘の名前が「青花」と書いてハルカというので、それに因んでよく青い花を栞にしたりしてました♪

あゆのりんさん

胡蝶蘭、何度かもらったが花が終わると翌年になっても葉っぱしか伸びなかったのですがなぜか今年になって4鉢が咲きました。

しげT3さん

普段自分で花を買ったり飾ったりすることは少ないですが、入学や卒業の日、誕生日などに花束を貰うと嬉しいです。

maiさん

卒業式の日に父からたくさんの花をもらいました。

うなぎnekonekoさん

最近、花や植物の写真を撮るとAIやユーザーさんが名前を教えてくれるというスマホのアプリを見つけました。
晴れの日はお庭に出て、可憐に咲いている花の名前を調べたりして楽しんでいます。
他のユーザーさんが私の撮った花の写真に「いいね」をクリックしてくださることもあり、とてもうれしいです。

まめ太郎さん

私は薔薇の花が大好きです。夫に鉢植えをプレゼントされて、その後庭に下ろして毎年バラが綺麗に咲きます。
花を眺めていると、とても癒されて幸せな気持ちになります。

ぽぽんさん

昨年乳がんで逝ってしまった妻は向日葵が大好きでした。初めて花をプレゼントしたのも部屋に生けていたのも病室に飾っていたのも向日葵でした。
娘の名前も妻の熱望で「向日葵」にしました。
葬儀では大量の向日葵が届き嬉しい限りでした。花言葉通り「あなただけを見つめていた人生」でした。

KANTON$さん

八王子に住んでいる長女から私の誕生日に思いもよらずカーネーション一杯の鉢植えが届いた、あのピンク色が忘れられません。

えみちゃんねる。さん

コロナ自粛のこの頃 庭の隅に咲いた花々が心に潤いを与えてくれています。

丸さん

今時期、花と言われると、やっぱりライラックを思い浮かべます。今年はライラック祭りがなくなって寂しいです。

oldmanさん

バラを庭に植えて、手入れが大変ですが、楽しいです。

オリジナルリリーさん

亡き父が残した皐月を挿し木で増やし、楽しんでいます

チバタロウさん

若い頃は、何にも思わなかった、おばあちゃんの好きな花。
おばあちゃんの歳に近づく今日この頃、花を見るたび、おばあちゃんのことも思い出すようになりました。

グッキーさん

花を買うのはお正月前や、来客時などであまりかず多くはありません。
ふだんは前庭に咲いている季節の小花を玄関や食卓に飾っています。

かったんさん

社会人になり、母の誕生日に蘭の花をプレゼントしたら涙を流して喜んでくれた。

キクキクゾオウさん

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外出を控え、玄関に小さな花壇を作りました。少し、華やかな気持ちになれました。

くにくにさん

お花は母の日や誕生日などちょっと特別な日に買うことが多いです。
普段は2歳の娘がお花が大好きで、道端に咲いてる季節の草花をとってきてくれるのでそれを小さな小鉢に入れて枯れるまで楽しんでいます。少し前はたんぽぽが多かったのですが、最近はもっぱらクローバーをくれます。

くらたくもさん

ヒマワリが好きです♪元気な気持ちになれる~

ふくタローさん

小さなひまわりなど明るい色のお花がいいですね

パンナさん

私は何故か昔から、桜のように手の届かない高い場所にある花が好きです。小さい頃、花見の時期に祖父と兄と3人で花見に行き、桜の絵を描くコンクールに参加しました。しかし、私は花びら一枚一枚を捉えようとしすぎて上手く描かず、大雑把に全体を捉えた兄の絵が賞を獲りました。あのときはすごく悔しかったけれど、空を背景にした桜は私には描ききれないほど美しいものだと、今は自分を納得させています。

ちほこさん

今年の春は自粛で家にいましたので庭に子供とチューリップ植えました。いつもより観察できましたね。

papa001さん

小鉢にセントポーリアを飾っています。

世界平和さん

母が花が好きで、毎週欠かさず火曜日に花屋でかってリビングにかざります。旬の花が知れて私もいやされます!

momoさん

コロナで自粛が続き家に籠っていたが、先日自粛解除で知り合いに会った際に、ご自宅で育てている紫陽花を分けていただいた。
家にいてあまり外をゆっくり眺める機会が少なくなっていたので、季節を感じる紫陽花を家に飾ると、家も気持ちも明るい気持ちになりました。今年は、あまり遠出もできないので、紫陽花を眺めながら梅雨を楽しもうと思いました。

たまごんさん

生活に余裕が出来、十数年前から母の日はリクエスト制に。初めて欲しい物を訪ねた時の母の答えが「花だけは要らない」・・・。義理の妹がカーネーションを贈ってくるので、それ以来、我が家からは食べ物しか贈らないです。

サン太とアニさん

家庭菜園を初めてきゅうりの花が咲きました。これからの成長が楽しみです。ステイホームで育てることの楽しさを学びました。

FJさん

お散歩をした際に、野の花や季節の花を愛でるようにしています。お花がもともと好きなので、季節とともにきれいなお花に元気をいただいています。今年は自粛期間と桜~バラの季節が重なってしまい、残念ながら大好きな藤の花も見られませんでしたが、Pinterestなどでお花を楽しむ機会が増えました。

薫風さん

STAY HOMEでも、幸い庭付きという事で、集合住宅とは違ってストレスもすくないと思います。外出は出来なくても家族で庭で食事をしたり、軽い運動もしています。また趣味がガーデニングという事もあり、花は沢山育てていて、芽が出るたび、茎が成長して葉が大きくなる度、蕾が顔をだす度に、明るい気持ちにさせてくれます。花がある生活は心を豊かに穏やかに心地良くしてくれています。

Ksさん

以前、帯広近郊で林業をしていたので、花が咲いてる事が当たり前だったのですが、札幌で畑違いの仕事をする事になり…花を見る事も無くなり寂しくなりました。

鉢植えを買う事も難しく、壁の花絵で生花の代わりにしてますが味気なく、ハーバリュウムを作りたいもののコロナの影響で習えない悲しさ。

やっぱり、理想は里山のある都会生活が日本人には合ってると思う

カカシさん

散歩して街角の花を見るのを楽しんでいます
名前のわからない花がたくさんあり楽しいです

まもるさん

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