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アイヌの人たちは湖のことを「ト」とよびました。「ととき」は湖のゆったりとした時を楽しむシリーズ。毎月道内の湖畔の風景をお届けします。一息つきたいあなたへ、湖畔時間の便りです。ちょっとひと休みしましょう。
地図で見ると、登別温泉のそばにコンパスで丸く円を描いたような、まん丸の湖がある。倶多楽(くったら)という変わった音の名前は、アイヌ語で「イタドリの群生するところ」を意味する「クッタルシ」から来ているという。イタドリは漢字で書くと「虎杖」。近くの「虎杖(こじょう)浜」はこれを音読みしたのである。
西側の湖畔に通じる観光道路が湖のそばまで導いてくれる。舗装されてはいるものの、湖に近づくにつれて道はどんどん狭くなり、すれ違いの待避所がところどころに現れる。生い茂った樹の陰からわずかに湖面が見えてくる。唯一、湖畔に降りられるところに駐車スペースがあり、レストハウスがあるが休業中で、湖畔で営業している施設は何もない。透明度は摩周湖に次いで全国2位なのだというが、訪れる人は圧倒的に少なそうだ。
湖畔から登別温泉方面に抜ける道路わきに展望台もあるが、湖はその一部を見せてくれるだけだ。丸い形を見るには鳥の目が必要らしい。ここを過ぎると道路はようやく少し広くなり、硫黄の匂いが車の中でもプーンと感じられるようになると、もう温泉街だ。「アイヌ神謡集」を編んだ知里幸恵の「銀のしずく記念館」も市内にある。
阿寒湖の温泉街から弟子屈に続く国道241号を約20分ほど走ると、道路脇に双湖台という場所がある。名前の通り、ここから二つの湖が見えるらしい。読む