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>HOME >テレビでは伝えきれなかったこと >「コロナに「耐える」ではなく「攻める」。とあるラーメン店のコロナ禍の挑戦」(2021/4/19)

VOL1:コロナに「耐える」ではなく「攻める」。とあるラーメン店のコロナ禍の挑戦

ごあいさつ

森さやか
森さやか 千葉県出身。2児の母。 夕方情報番組「イチオシ!!」に出演。ワークライフバランス・コンサルタント。絵本セラピスト。

アナウンサーとして出演している時間よりも、私は取材をしている時間の方が長いかもしれません。
 入社後の数年間は、アナウンサーでありながら、報道部の市政記者クラブとスポーツ記者クラブに兼務で所属し、毎日取材に出かけていました。「半年かけて取材したことが、放送で伝えられたのはわずか20秒」なんてことは、ざらにあり、1秒の貴重さと言葉を厳選する大切さを学びました。そして何より、自分の目で見たこと・聞いたこと・体験したことは、言葉に力と温度が加わります。この時の経験が、今の私を形成したのだと思います。

 記者クラブを離れても、取材活動を続けてきました。自身の結婚・出産により「子どもの未来のために」という新たな視点も加わりました。根室のユルリ島という無人島を取材し「自然との共生」を伝えたり、食を通して地域の子ども達を見守る「こども食堂」の活動を紹介するドキュメンタリー番組を作ったことも。
 その他、ワークライフバランス・コンサルタントの資格を生かし、全国の企業の取り組みを取材しています。
 この連載では、テレビでは伝えきれていない、今気になるコト・モノ・ヒトを語らせて頂ければと思います。

コロナ禍をチャンスに。勢いを加速させる

MEN-EIJI古川淳さん。今年1月、札幌ドーム前にオープンした直営4号店「MEN-EIJI 月寒FACTORY」にて (写真・森さやか)
MEN-EIJI古川淳さん。今年1月、札幌ドーム前にオープンした直営4号店「MEN-EIJI 月寒FACTORY」にて (写真・森さやか)

「ラーメン好き」という趣味が高じて、出演する情報番組「イチオシ!!」ではラーメン特集のシリーズ企画をプロデュースしているのですが、そんな中、新型コロナウイルスが北海道のラーメン業界を直撃しました。
 道内に2000軒あるとされるラーメン店の多くが客数・売上げ減に苦しみ、一時、売上げが9割減まで落ち込んだ店もありました。そして昨年のラーメン店の倒産は過去最多に。ところが、そんな厳しい状況下で、新しい「ラーメンビジネス」を確立した店があるのです。
 札幌の人気ラーメン店「MEN-EIJI」は昨年、フランチャイズ展開もスタートし、わずか1年ほどの間に、実に7店舗をオープンさせました。飲食店全体に降りかかるコロナの打撃を、いったいどのように乗り越えてきたのでしょうか?MEN-EIJIの古川淳さん(44)に聞きました。
 「コロナで客足が落ち始めた昨年3月。すぐに全国での冷凍ラーメンの販売を始めました。ここで70万円ほどの売上を得て、店舗での収入減を補填できました」と古川さん。コロナを見据えた一手が早かった。
 さらに、北海道にまだなかったテイクアウトの宅配サービスを模して、4月に独自の宅配サービスをスタート。8月には、自家製の麺とタレを活用し、フランチャイズ展開に踏み出します。コロナに「耐える」のではなく「攻める」ことを意識したそう。
 「コロナは永遠に続かない。みんなが停滞している今こそがチャンスだ!と逆転の発想に切り替えました」と当時を振り返ります。空きテナントが増える中、よい物件も見つけやすく、店舗を拡大させるのには絶好の機会。また、コロナで稼働が減った時間を、人材育成など店の強化の時間に充てたと言います。
 今年1月にオープンした「MEN-EIJI月寒FACTORY」。店に入ると、本格エスプレッソマシンが目を引きます。月寒にある「いわい珈琲」とコラボして珈琲も提供。札幌の作家の作品も展示販売され、MEN-EIJIで使用している厳選した醤油など食材も並んでいます。まるでアンテナショップのよう。
 「ラーメンの先にある″生産者”までつなげたい」と話す古川さんの目指す道。小麦・ねぎ・肉・醤油・水に至るまで、ラーメンに使うひとつひとつにこだわり、安心とおいしさで「お客さんに喜んでもらう」ための一杯を作る。古川さんはラーメンで「食」と「人」を繋げるコーディネーターのようだと感じました。MEN-EIJIは古川さんの想いと共に、北海道に活力を与えてくれる存在になりそうです。

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