このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。
>HOME >テレビでは伝えきれなかったこと >「コロナ禍に、北海道のエンターテインメントを支える」(2021/12/20)

VOL9:コロナ禍に、北海道のエンターテインメントを支える

サツドラBOOK LOUNGEで行われたライブのスタッフ

 今年も残すところ後わずか。日常が戻ることを来年には期待したいところです。

 「音楽」業界もその1つ。緊急事態宣言下でコンサートが中止・延期となり、関連する売上は一時ほぼゼロに。ライブハウスだけでなく音響や照明、舞台など、ステージ制作に携わる企業やフリーランスも窮地に立たされました。

 今も苦しい状況が続いていますが、立ち止まっているばかりではありません。オンライン配信とリアルイベントを組み合わせた新たな形や、音楽活動を支援する取組みが広がっています。

 今回は「北海道のエンターテインメントやアーティストをサポートしたい」と有志で活動する映像チーム『HE'S Project:ヒーズプロジェクト』を紹介します。

エンタメ業界の苦しい状況をなんとかしたい

 HE'S Projectを立ち上げたのは、北海道のテレビ局やイベント会場などで活躍する株式会社北海道共立の星野挙(あぐる)さん(30)です。星野さんは映像やイベントを演出する「照明」専門のプロ。実は、私がMCを務める情報番組イチオシ‼で、共に働く仲間の一人でもあります。

 日々の放送や取材に立ち会うなどの通常業務も抱える中で、独自にこのプロジェクトを始めたと聞いた時、私はその熱量にとても感銘をうけました。改めて『HE'S Project:ヒーズプロジェクト』を立ち上げたきっかけや想いを伺いました。

 2020年の5月、新型コロナの拡大でライブやイベントが続々中止になる中、照明・音響など裏方を仕事とする仲間は自宅待機が続き、倒産してしまった道内イベント会社もありました。

 裏方と同様に、出演者やアーティストの苦しい状況も耳にするようになりました。東京ではアーティストが個人でオンライン配信する取り組みも見かけるようになりましたが、特にインディーズアーティストも多い北海道では、配信イベントをしても収益の見立てがつかないことや、そもそも「オンライン配信をするための機材がない」という悩みも抱えていました。

 そこで、プロの音響や照明、カメラマンの仲間を募り、北海道のエンタメをサポートする活動をしたい!と思い立ちました。

プロの映像チームでライブの躍動感を届ける

 同世代の同業他社を誘ってスタートした活動。主なメンバーは現在11人ほど。この1年半で、道内在住・またはゆかりのあるアーティストのライブ映像、42本を制作し、YouTube上で公開しています。
 最新のライブ配信は「HE'S LIVE ~beyond~ SNARECOVER×栞寧」

 これは延期となっていたライブの再公演で、リアルとオンラインの両方でやりたいと、アーティストからの相談を受けたのだそう。会場に選んだのは、開放感のあるオシャレな空間でネット環境が整っている「サツドラ8条店のBOOK LOUNGE」。こうしたイベント会場の手配から、セッティング、進行や撮影、配信まで全てを行いました。

 暗いステージに浮かび上がるアーティストの横顔と白いギター。弾き語りの演奏を、月のような白いライトが照らし、音楽に合わせて変わる照明の強弱や青やオレンジ色の光で、映画をみているかのような映像に。息づかいも聞こえるような音と、かっこいいカメラワークで、会場に居なくてもライブの臨場感を味わえます。

照明の技術でライブを盛り上げる

 照明の仕事の面白さは「表現の自由さ」なのだそう。音楽を聞いて、照明のプランニングをたて、構成を紙に書いて、コンピューターに打ち込んでデータを作って再生していく。そうした光の演出によって、見る人の心に響くステージを作り上げています。ライブハウスや舞台では照明100台を駆使することもあるそうです。照明の世界、興味深いですね。

 最初はボランティアでスタートした活動ですが、今では依頼も入るようにもなってきたと言います。将来は「北海道での音楽フェスを支えられるようになりたい」と語ってくれました。

森さやかの思うコト

 ウィズコロナで疲れた心には、やっぱりエンタメは必要です。音楽は時に、自分の気持ちを代弁してくれたり、今の気持ちに寄り添ってくれたりするもの。北海道のエンタメを無くすわけにはいきません。
 エンターテインメント業界は、人を楽しませるのが目的の業種です。困難なことがあっても、周囲を巻き込み、前向きに取り組んでいく姿勢こそが、人を楽しくさせるのだと思います。テレビも負けずに、様々なトライを続けていきたい。星野さんの情熱に、私も意欲をかき立てられました。

星野挙さんと筆者

全文を読むにはログインしてください。

メールアドレス
パスワード
自動ログイン

テレビでは伝えきれなかったこと バックナンバー

テレビでは伝えきれなかったこと vol.12 2022年3月22日

小学生への出前授業 言葉の大切さ、伝えたい

 先日、江別市立大麻小学校5年生(2学級60名)のみなさんに、出前授業を行いました。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.11 2022年2月21日

「札幌軟石」を身につけて

 北海道の大自然が生み出した「札幌軟石」。触れてみると、きめ細かなザラっとした感触が心地よく、温かみを感じる柔らかい印象の石です。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.10 2022年1月17日

10代と新聞~知らない情報と出会える楽しさに~

子どもの頃、郵便受けに朝刊を取りに行くのが好きでした。外に出た時のひんやりとした新鮮な空気を味わいながら、朝に一番乗りできたようなお得な気分になれる、私の一日の始まりの習慣でした。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.9 2021年12月20日

コロナ禍に、北海道のエンターテインメントを支える

今年も残すところ後わずか。日常が戻ることを来年には期待したいところです。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.8 2021年11月16日

新型コロナ、看護師の養成にも影響 実習ができない!

新型コロナウイルス感染拡大が、看護師の養成にも大きな影響を及ぼしています。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.7 2021年10月18日

身にまとった戦争 ファッションから読み解く「平和」

 ファッションは時代を映す鏡。かつて、日本で着物が主流だった時代にも、当然「流行」はありました。その一つに「戦争柄」があることを、ご存知でしょうか?読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.6 2021年9月21日

おいしく料理を作ること コロナ禍で見なおす「料理」

 度重なる緊急事態宣言で外食自粛が続き、家で作って食べる機会が増えています。コロナ前はあまり意識していなかった食材に関心を持つようになったという人や、料理が趣味になったという人も多いようです。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.5 2021年8月16日

宝の島と呼ばれた「樺太」

よく晴れた日に、稚内の宗谷岬に立つと、真っ青な水平線にくっきりと見える島影。樺太です。宗谷岬から約40キロ。肉眼でも見えるほどの距離にあるにもかかわらず「樺太ってどんな場所か知っていますか?」の問いに答えられる人は、どのくらいいるでしょうか。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.4 2021年7月19日

アイヌの薬膳【シケレベカレー】

新しい味との出会いがありました。「シケレベカレー」です。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.3 2021年6月21日

コロナ禍で大学に行けない! 〜大学生は今、何を思う?

再び、北海道も緊急事態宣言に。(6月1日現在)読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.2 2021年5月17日

ノーマライゼーションを広めたい 車いす建築士 牧野准子さん

牧野准子さんは車いす建築士です。彼女と出会ったのは、2年前。私がユニバーサルマナー検定を受講した時に、講師を務めていたのが牧野さんでした。読む

テレビでは伝えきれなかったこと vol.1 2021年4月19日

コロナに「耐える」ではなく「攻める」。とあるラーメン店のコロナ禍の挑戦

アナウンサーとして出演している時間よりも、私は取材をしている時間の方が長いかもしれません。読む

先頭へ戻る