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>HOME >PAPER&DIGITAL >「デビュー50周年のユーミンと日本社会の変化を語り尽くす」(2023/3/20)

VOL9:デビュー50周年のユーミンと日本社会の変化を語り尽くす

ユーミン: ArtistCHRONICLE

朝日新聞ポッドキャスト Spotifyオリジナル 「ユーミン: ArtistCHRONICLE」

 朝日新聞の音声配信メディア「朝日新聞ポッドキャスト」で、昨年11月に意欲的な試みが行われました。2022年にデビュー50周年を迎えたユーミン(松任谷由実)を特集した、「ユーミン: ArtistCHRONICLE」です。これは音声配信サービスSpotifyとコラボし、同サービス上で独占配信されたものです。番組を聴くにはスマホのSpotifyアプリをダウンロードして購読登録することが必要ですが、無料でも聴くことができます。

 デビューから現在に到るまでのユーミンの足跡と、日本社会の変化が合わせて語られるのが醍醐味でした。ユーミンがデビューしたのは1972年、札幌オリンピックの年です。毎回ゲストが登場してMCの神田大介さんと話をしながら、途中ユーミンの曲がふんだんに挿入されます。ゲストは実際にユーミンにインタビューしたことのある記者だったり、一緒に仕事をしたことがあるアートディレクターの森本千絵さん、「ユーミンの罪」を書いたエッセイストの酒井順子さん、ユーミンを撮り続けているフォトグラファーのレスリー・キーさんなど、豪華です。

 ユーミンのデビューのころ私は中学生でしたが、曲に触れるようになったのは大学生になってからだったと思います。おしゃれで、湿っぽくなく、当時の日本の歌謡曲とは明らかに違う何かがありました。「中央フリーウェイ」は、高速道路を「フリーウェイ」と呼んでしまう感性がとても新鮮で、見慣れた景色もユーミンの曲と一緒に見ると何か別世界のような気がする不思議さに魅了されました。デビュー翌年、1973年の日本のシングル売上一位は宮史郎とぴんからトリオの「女のみち」だったそうで、ユーミンの音楽がどれほど斬新だったかわかるというものです。

 先進的な女性と思われていた一方、荒井由実から結婚したら松任谷由美になった、実は歌の中に登場する女性はいつも助手席に座っている、というような事実は、番組では「外は革新、中は保守」という言葉で分析されていました。どんな情念もさらりと流す、意外に死について歌われているものが多い、暗い情景でも音楽は明るい、など、どうしてそうなるのかの分析は、ぜひ実際の番組をお聴きいただきたいと思います。ユーミン自身が自分を「ユーミンの奴隷」と評し、ユーミンを「演じる」ことに徹底しているエピソードもあり、非常に興味深いものでした。

 番組は7回シリーズで、全部聴くと約6時間15分。ユーミンの曲に浸りながら、ここでしか聴けない話を聞き、50年の歴史を振り返るとても贅沢な時間でした。

■Spotify ※Spotifyユーザーでない場合、番組を聴くにはアプリのダウンロードとユーザー登録が必要です。

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