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− 北海道を訪れたある旅行者が、バスでオホーツクの「紋別ターミナル」を目指したが、たどり着いたのは十勝・広尾町の太平洋側、目的地とは200キロ離れた「紋別入口」だった、という体験を元にした記事ですね。よくこんな人に巡り合ったなと思うのですが、いったいどうやって見つけたのですか?
石垣記者(以下、石):ツイッターを眺めていたら、たまたまこの旅行者の方のツイート(投稿)が目に入ってきました。「〜旅程崩壊のお知らせ〜」というタイトルで、北海道の地図がアップされていました。投稿主は全然知らない人です。「いいね」が6万件以上ついていて、いわゆる「バズった」投稿でした。
− そこから直接コンタクトを取ったのですか?
石:はい。ツイッターのダイレクトメッセージ(※個人に直接送れるメッセージ)はあまり見ていないようだったので、会社のアカウントを利用して投稿にコメントして、相互にフォローして、直接やりとりすることができました。
− 取材はメールだけだったのですか?
石:いや、電話でやりとりさせて欲しいとお伝えして、快く了解していただきました。実際に電話で話し、直接話を聞いてその時の空気感を共有するのが大切だと思います。
− ツイッターからネタを見つけたりするのは、記者さんの間では一般的なのでしょうか?
石:どうでしょうねぇ。周りにはあんまりいないかも。北海道では僕くらいなのかな。
− ツイッターを含めて、石垣さんはSNSをけっこう使うのですか?
石:連絡を取りあうのはLINE。ツイッターはいちばんよく見ますけど、自分ではつぶやいていません。
− 最初にこのツイートを見たときにピンと来たのでしょうか?
石:そうですね。これは面白い話かも、とデスク(※紙面に載せるための責任者)に提案しました。
北海道に来てから、
「イト紋別」とか、「サムライ士別」とかいう言い方があるのを聞いて、「なんじゃこれは?」と思う事があったので、記事にしてみようかと思いました。
− 後半では北海道地名の由来についても触れていますね。
石:その部分は記事を書いてデスクに見せたあと、多くがアイヌ語に由来する北海道の地名についても触れたらどうかとアドバイスがあって、道の観光政策課にも取材してその情報を付け加えました。よくある「ナイ」とか「ベツ」の語源が「川」にあることも今回の取材で初めて知りました。「へぇ〜」と思いながら書いていましたね。
− ふだんはどんな取材をしているのですか?
石:道警、司法、スポーツを担当しています。
− 忙しそうですね。これらの担当の取材をしながらこのようなソフトな記事も書くのですね。
石:どちらかというと、こういうソフトな取材の方が好きですね。
− 今、特に取材しているテーマはありますか?
石:道警を担当していることもありますが、交通事故の問題を取材するのが多いです。
− こんな交通事故がありました、というような取材ですか?
石:いえ、交通事故で重傷になった被害者がどういう状況にあるのか、というような話を取材して記事にしました。短いベタ記事にしかならないような交通事故でも、その背景には後遺症や、介護のことなど、さまざまな問題があるのがわかりました。
− 小さな交通事故も当事者にとっては大問題ですね。なぜそこに目をつけたのですか?
石:前任地で子供が亡くなるような大きな交通事故を取材して、事故をきっかけに人の一生が変わってしまうことを痛感したので、その記憶が根っこにあるのかもしれません。人間の営みが感じられるような記事を書きたいと常に思っています。
名古屋生まれ、横浜育ち。大学時代に朝日新聞社でインターンを経験したのをきっかけに新聞記者という
仕事に興味を持った。2020年入社。千葉総局を経て、2022年4月から北海道報道センター勤務。
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今回は朝日新聞に連載中の「心臓病と走る」の筆者、網走支局長の神村正史記者です。冠動脈硬化症という持病を抱えながら、フルマラソンやサロマ湖の100キロウルトラマラソンを走ります。読む
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紋別を目指した旅人、到着したのは?(2023年3月6日 朝日新聞北海道版道内面 19ページ)
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