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− 統一地方選を控えた昨年末と今年3月、「地方自治クライシス」という連載企画がありました。選挙に関する連載としては、政治家だけでなく市井の人にフォーカスする読み物として斬新な切り口で、読み応えがありました。そもそもこの企画はどのように始まったのですか?
まずは統括デスクの岡戸記者に聞きます。
岡戸(以下「岡」):これまで選挙取材を多く手がけてきました。初任地の山梨は「金丸王国」と言われた保守の地盤。それが2009年の政権交代でボロボロになりました。東京に転勤となり、今度は安倍人気。どうして彼がこれほど支持されるのか、私と同世代の支持者が多い。アベノミクスで日本は再びよくなるのではないかという心地よい浮揚感がありました。それに簡単に飲み込まれてしまう民意の恐ろしさも感じました。選挙報道は民意を探る場だと思っていました。自分がデスクになったら民意を探る報道をやりたい、ひとりの人間を深堀りして現れるものを伝えたい、とずっと思っていました。
− だれを取材するかは記者に任せたのですか?
岡:そうです。記者が楽しんで取材しないと、共感を呼ぶ記事にはならないと思います。日浦記者ほどのベテランになると何も言わなくても大丈夫なのですが、出てきた原稿はサル。「人じゃないんかい」と思いましたが(笑)。私には思いつかない視点、さすがです。
− このシリーズ、今後も続きますか?
岡:はい、続ける予定です。北海道で起きている諸問題は日本の未来予想図です。人口減は本当に悪いことばかりなのか、という視点も持って、さらに取材していくつもりです。
− では、そのサルの原稿を書いた日浦記者にお聞きします。このテーマからよくサル山を思いつきましたね。
日浦(以下「日」:これにはきっかけがありまして。市政担当で、円山動物園のサル山で長年序列一位だった「中松(ちゅうまつ)」というサルが亡くなったという発表があり、記事にしたことがありました。中松は15年間、いわゆる「ボス」の地位にあったのですが、強者のオーラもない高齢のサルだったと聞いて「なぜだろう」と思っていました。山極壽一さん(※)の本もよく読んでいたので、動物と人間の行動の関係性にも興味を持っていました。(※ゴリラ研究で著名な人類学者、霊長類研究者。京大総長も務めた)
− その答えは記事にも書かれていましたね。
日:結論から言うと、若いサルが入ってこなくなり、サル山全体が高齢化したんですね。取って変わろうという「若者」も出てこなくて、長期安定政権となった訳です。担当飼育員の石井さんの話もとても腑に落ちました。
− 中松が死ぬ3ヶ月前に、エサを横取りされたり威嚇されるようになって1位の座から転落する、かつてはロープで遊ぶサルがたくさんいたが今は日光浴する中高年だけ、という記述も身につまされます。
日:この連載の最初のシリーズの第1回で取り上げたのが、31歳で初当選して当時43歳だった若い網走市議でした。若い政治家がなぜ出てこないのかについては、ずっと関心を持っていました。20年以上前に大阪で取材していたころは、もっと下からの動きがありました。そのころからすれば進んでいないどころか悪くなっていると思います。
− なぜ若手が出てこないのでしょう?
日:よくわからない、というのが正直なところですが、きちんと後継を育成してこなかった政党の責任もあると思います。1994年に政党交付金制度もできたのですから、もっとできたことはあったと思います。
− 今後の取材テーマ等があれば聞かせてください。
日:北海道で育ちましたが、住むのは30年ぶり。高齢者が多くなったな、というのは実感です。調べてみたらこの10年間で札幌市の社会保障を含む保健福祉費は1.5倍になっていました。
北海道の広大な土地をどう活かしていくのか、もっとドラスティックなことができるのではないか、と感じています。経済記者が長かったので、その経験も踏まえてテーマを広げていきたいと思っています。
岡戸 佑樹 記者 (デスク) 1980年生まれ。2005年朝日新聞社入社。初任地は山梨県。森友・加計問題や国土交通省などの担当を経て、19年から東京社会部都庁キャップ。都知事選、都議選、衆院選、新型コロナ、東京五輪などを担当。調査報道班で、国交省の統計不正問題を担当。22年4月から北海道報道センターデスク。
日浦 統 記者 1970年東京生まれ、大学まで北海道育ち。93年朝日新聞社入社。初任地は和歌山。神戸、大阪社会部を経て、東京経済部で日銀、財務省、金融庁、証券会社など金融関連を広く担当したほか、小売・流通、総務省、厚労省なども担当。2017年9月から22年2月まで、東京本社オピニオン編集部で記者とデスクを務める。22年3月から北海道報道センター記者として、経済全般を担当。同年9月から札幌市政担当。
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