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>HOME >新聞記者に聞いてみた >「スーパーアスリートたちと接して」(2024/4/16)

VOL13:スーパーアスリートたちと接して

畑中記者の執筆した葛西選手の記事。2024年2月19日朝刊

 今回はスポーツ担当の記者さんの登場です。スポーツの取材って、どのように行われるのでしょう。スポーツ取材のベテランで、東京本社スポーツ部札幌駐在の畑中謙一郎記者にお話を聞きました。

 まず恒例の質問となりますが、なぜ新聞記者を志したのですか?

畑中:(以下、畑:)青臭いかもしれませんが、いろいろな世界を見てみたいと思ったからです。新卒で新聞社を受けたのですが落ちて、銀行に就職しましたが諦めきれず、2度目の挑戦で入社しました。

 スポーツの担当は希望したのですか?

畑:最初からスポーツというわけではないんです。入社後は地方支局で経験を積み、その後経済部に在籍しました。当時の上司から、「君は将来どうしたいんだ」みたいなことを聞かれて、銀行が嫌で辞めたので経済はもういいです、と好きなスポーツの担当を希望しました。

 スポーツは昔から好きだったのですか。

畑:はい、スポーツを観るのは大好きでしたね。

 自分でも何かスポーツを?

畑:いえ、子どものころにスピードスケートをやったくらいです。それよりもスポーツを観るのがとにかく好きだったんですよ。

 これまでにはどんなスポーツを担当してきたのでしょうか。

畑:スポーツ担当になって初めて担当したのが、プロ野球の巨人です。長嶋茂雄さんがダイエーの王貞治監督と日本一を争った2000年ですね

 初めて現場で観るプロ野球はいかがでしたか。

畑:最初は、ああ、テレビで観る人たちがいる、みたいな感じでしたけど、選手たちの身体能力の高さには驚きました。まさにスーパーアスリートたちですね。

 野球の試合取材はどんな段取りなのでしょう?

畑:試合開始の4時間前くらいには球場入りします。午後6時開始なら2時頃には行きますが、選手たちはもう来ていて、アップを始めています。チームの練習の中で、選手や監督に話を聞きます。ゲームが始まったら、とにかく早く原稿を書いて送ることに全力を尽くします。

 監督や選手はけっこう話してくれるものですか。

畑:長嶋監督はメディアにはとても協力的な方でした。何か超越的な雰囲気がありましたね。選手の対応は人それぞれ。清原和博選手はこわもてですが、ボソッとつぶやく一言が面白い。松井秀喜選手は4番らしく、堂々と対応してくれました。

 高校野球は担当しないのですか。

畑:原則、各都道府県にいる若い記者が担当します。ただ、各地方大会の決勝は、スポーツ部の記者も必ず取材することになっています。

 野球取材の経験が長いので、チームの実力もだいたいわかるものですか。

畑:甲子園に行ってどのくらいまで勝ち進めそうか、だいたい予想はつきますね。

 野球以外の担当は何でしょう?

畑:ゴルフはもう20年くらい担当しています。

 ゴルフは海外遠征も多いですよね。

畑:日本選手が出場するツアーを取材するために、しょっちゅうアメリカには行ってました。延べで言えば2年間くらいは取材で滞在していると思います。タイガー・ウッズ、宮里藍、上田桃子、石川遼、松山英樹……。錚々たるスターたちが活躍する時代に担当することができたのは幸運でした。

 北海道での担当は?

畑:もちろん、プロ野球の北海道日本ハムファイターズとサッカーの北海道コンサドーレ札幌は重点的に取材しています。

 前シーズン日ハムの成績は奮いませんでした。

畑:2年連続の最下位でした。新庄 剛志監督にとっては勝負のシーズンです。オフに大型補強を進めたので、今季はAクラス入りに期待しています。

 新球場はいかがでしょう?

畑:アメリカの大リーグの球場をいくつも見ていますが、それに引けを取らないすばらしい球場だと思います。センター方向ガラス張りのデザインもすばらしいし、天然芝の香りもよいです。通っていて毎日が楽しくなる球場です。

 今季のコンサドーレはどうでしょうか。

畑:複数の主力選手が抜け、序盤は苦戦が続いています。でも、若い選手たちが経験を積めば、シーズン後半から盛り返してくると思います。

 トップアスリートたちと接していて何か感じることはありますか。

畑:まず、基礎体力が全く違うということです。陸上競技をやれば、日本代表になれそうな素質を持った選手が何人もいます。でも身体能力に任せていても結果が出る時代ではなく、どういう体の動かし方をするかとか、運動生理学のこととか、ものすごく研究して、みんなとても真面目です。

 最近印象に残ったアスリートは?

畑:ジャンプの葛西紀明選手。ワールドカップの成績は奮いませんでしたが、もうスターでしたね。世界の国の選手たちがみんな彼と一緒に写真を撮りたがったり、サインを求めたりしていました。正にスーパーアスリートという印象を持ちました。

畑中謙一郎 記者
余市町出身、恵庭市で育つ。1992年朝日新聞社入社。長崎支局(現総局)、筑豊支局、西部本社経済部を経て2000年東京スポーツ部(当時は運動部)、大阪本社スポーツ部(広島駐在)、東京本社スポーツ部(デスクを含む)。現在東京本社スポーツ部札幌駐在。

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