このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。

画像:AFC アサヒファミリークラブのロゴマーク

>HOME >新聞記者に聞いてみた >「地方での1人勤務ってどんなですか?」(2023/7/18)

VOL4:地方での1人勤務ってどんなですか?

2023年5月26日、北海道面の中沢記者の署名記事
2023年5月26日、北海道面の中沢記者の署名記事

今回は札幌を離れ、帯広で勤務する記者に話を聞きました。地方にいる新聞記者の日常ってどんなものなのでしょう。

− プロフィール(欄末)の経歴を見てびっくりしました。こんなに転勤があるのですね。

中沢(以下「中」):今はどうかわかりませんが、2〜3年ごとに異動があるのが当たり前でしたね。帯広がいちばん長くなり5年目です。一応希望も出せるのですが、聞いてもらえるかもわからず。帯広は希望した場所です。歳を取ると会社も希望をを叶えてくれるのかも。− いろいろな地方を回られていますね。「整理部」というのもありますが、これはどんな部署ですか。

中:記者が書いてきた記事に見出しをつけたり、紙面をレイアウトをしたり、どれをトップ記事にするか編集長や出稿部門と打ち合わせしたりといった部署で、いわゆる「内勤」です。整理記者と言われたりしますね。

− 入社が2月というのも変わっていますね。

中:実は大学を卒業してすぐに入りたかったのですが入社試験を通らず。一年弱地元の役場に勤めましたが、机にかじりついている仕事になじめなかったのと、どうしてもあきらめきれず再度中途採用に挑戦して入社したという経緯なんです。

− なぜ帯広を希望したのですか。

中:農業や酪農に興味があり、前から農業が盛んな地域で取材してみたいという希望がありました。大農業地帯の十勝ですからね。短い役場時代に農政係だったのも興味を持つきっかけでした。

− 結果的にそれが役に立ったのですね。

中:そうなんです。何がどうなるかわからないものですね。

− 帯広は1人勤務と聞きました。

中:肩書きは支局長ですが、いるのは私1人です。いつかは1人勤務を経験したいと思っていました。自分の裁量でできる部分が多く、やりたいことをやれるのがよいですね。− 道内、1人勤務の支局が多いのでしょうか。

中:実は札幌以外は全部1人勤務なんです。旭川、釧路、函館、帯広、網走、苫小牧、根室です。

− カバーするエリアが広くてたいへんそうですね。

中:私の場合は十勝振興局管内19市町村が担当地区です。車でどこにでも出かけますから、月に2000キロ走るときもあります。

− 支局というと、建物があるのですか。

中:場所によって異なりますが、帯広の場合は事務所と住宅がくっついた一戸建てです。究極の職住接近ですね。家族と一緒に過ごせる時間が増えるのはいいですね。同じ場所なので仕事もプライベートもごちゃごちゃになることもありますが、新聞記者としては恵まれたポジションじゃないかなと思います。

− 1人で寂しくないですか。

中:月に一回、札幌での宿直勤務があります。そのときが同僚とのコミュニケーションタイムですね。

− 1人だとどうやって記事を探すのですか。

中:基本的に自分の興味あるテーマでできます。自分でアポを入れて予定を立てて、それに沿って毎日の取材計画を立てます。ただし事件が発生したり、選挙、高校野球などのときはそちらにかかり切りになります。今日も2試合取材して写真も撮ってきました。

− タウシュベツ川橋梁の大きな記事がありました。

中:北海道版の記事なんですが、朝日新聞デジタルにも載って全国の人にも読んでもらえ、けっこうアクセスがあったようです。このような北海道らしい記事は人気がありますね。

− 橋がどうなるのか気になりますね。

中:とても気になるので毎年見に行ってるんです。そうとう悪い状態ですね。11連の橋梁がかろうじて全部つながっていますが、一ヶ所でも途切れたら「崩落」として全国のニュースになるでしょう。この橋にはファンが多いですから。

− 十勝の最近の大きな話題といえば何でしょう。

中:大樹町のロケットには注目しています。インターステラテクノロジズが人工衛星打ち上げ用のロケットを開発しようとしています。引続きウォッチしていこうと思っています。

中沢滋人 記者

秋田県出身。1996年2月朝日新聞社入社。富山、厚木、旭川、滝川、東京速報センター、東京整理部、沼津、函館、東京地域面編集部、甲府を経て、2018年から帯広支局長。

全文を読むにはログインしてください。


新聞記者に聞いてみた バックナンバー

新聞記者に聞いてみた vol.20 2024年11月18日

自分が書かなければ知られなかったことを伝えたい

今回の記者さんは長谷川潤さん。入社24年目のベテランです。自ら「とにかく地方勤務が長かった」と言いますが、どんな記者経験を積まれてきたのでしょうか。聞いてみました。読む

新聞記者に聞いてみた vol.19 2024年10月21日

クマの現場を知るために、狩猟免許取りました

今回の記者さんは古畑航希さん。入社4年目の若手の記者さんで、現在「遊軍」として比較的自由な動きができる立場にいます。どんな取材スタイルなのでしょう。聞いてみました。読む

新聞記者に聞いてみた vol.18 2024年9月17日

駒大苫小牧初優勝、大谷の日ハム初年も取材

今回の記者さんは能田英二さん。スポーツの担当が長い記者さんです。取材したのはちょうど甲子園で北海道勢が出場しているころ。読む

新聞記者に聞いてみた vol.17 2024年8月20日

親になり、いろいろなことが自分ごとに

今回の記者さんは佐藤亜季さん。大阪や東京で経済担当の記者経験が長いですが、現在は特に担当を持たず、自分の興味のあるものを取材する「遊軍」的な取材をしています。昨年10月に育児休業から仕事に復帰したそうです。 読む

新聞記者に聞いてみた vol.16 2024年7月17日

自分で体験する、を大切に

今回の記者さんは札幌市政担当の原知恵子さん。テレビ局に2年間出向した経験があり、東京本社時代はニュースサイトの編集や、動画制作も行っていたそうです。いろいろな仕事があるんですね。その辺りも聞いてみましょう。 読む

新聞記者に聞いてみた vol.15 2024年6月17日

ウクライナ、北海道、米国

今回の記者さんは国際経験が豊富な特派員経験者。何で北海道にいるの?と思ってしまいますが、北海道ならではの大型企画も取材が進んでいるのだとか。北海道にたどり着くまでのその遍歴をどうぞ!読む

新聞記者に聞いてみた vol.14 2024年5月20日

人の人生を追体験できる面白さ

今回は「遊軍」と呼ばれる記者さんです。決まった担当は持たず、自分が興味を持った対象を取材するのが一番の仕事。何か楽しそうな気がしますが、どんな取材をしているのでしょう。読む

新聞記者に聞いてみた vol.13 2024年4月16日

スーパーアスリートたちと接して

今回はスポーツ担当の記者さんの登場です。スポーツの取材って、どのように行われるのでしょう。読む

新聞記者に聞いてみた vol.12 2024年3月19日

やっぱり現場に戻りたかった

今回は函館支局長の野田記者です。長かった警察担当記者から、現場を離れて北海道ではデスク業務を担当。でもやはり現場に戻りたいということで、函館支局長となり、日々取材現場に出ています。読む

新聞記者に聞いてみた vol.11 2024年2月19日

エネルギー、半導体、JR、流通…… 北海道経済を幅広く取材

今回は北海道内の経済を担当する記者さんです。東京経済部という部署を兼務していて、北海道だけでなく、全国の中での北海道の立ち位置を考えながら全国に発信しています。読む

新聞記者に聞いてみた vol.10 2024年1月15日

事件事故、起こったことを伝えるだけではなく

今回は事件や事故、警察、裁判などを担当する記者さんです。かつてなら「事件記者」と聞いたほうがピンと来るかも。いったいどんな取材活動を行っているのでしょうか。読む

新聞記者に聞いてみた vol.9 2023年12月18日

海の生き物から地球の環境が見えてくる

今回は道東・根室の支局長であり、科学ジャーナリストとして海の生き物や環境問題についても精力的に執筆活動を行っている記者さんを紹介します。そんな方がなぜ根室に? 聞いてみました。読む

新聞記者に聞いてみた vol.8 2023年11月20日

写真は時間を遡れない。先読みして現場へ。

今回は記者は記者でも写真記者、フォトグラファーのご紹介です。文章ではなく写真、いや写真だけでなく、写真も文章も動画も有りです。読む

新聞記者に聞いてみた vol.7 2023年10月16日

「選挙ロジ担」〜市町村数の多い北海道は一苦労

今回はちょっと記者らしくない記者さんの登場。選挙の「ロジ担」という仕事です。読む

新聞記者に聞いてみた vol.6 2023年9月19日

「人の役に立つかも」〜自身の体験を記事に

今回は朝日新聞に連載中の「心臓病と走る」の筆者、網走支局長の神村正史記者です。冠動脈硬化症という持病を抱えながら、フルマラソンやサロマ湖の100キロウルトラマラソンを走ります。読む

新聞記者に聞いてみた vol.5 2023年8月21日

編集委員ってどんな記者なんですか?

今回は「編集委員」という肩書きの方に話を聞きました。新聞社の編集委員ってどんな仕事をする人なんでしょう。読む

新聞記者に聞いてみた vol.4 2023年7月18日

地方での1人勤務ってどんなですか?

今回は札幌を離れ、帯広で勤務する記者に話を聞きました。地方にいる新聞記者の日常ってどんなものなのでしょう。読む

新聞記者に聞いてみた vol.3 2023年6月19日

知床観光船事故を取材して1年

2022年4月23日、知床の海で、信じられないような観光船の事故が起きてから1年以上が過ぎました。事故発生当初から知床に何度も通い、多くの記事を書いたのが佐野楓記者です。知床観光船事故に向き合った1年間はどんなものだったのか。佐野記者に聞きました。読む

新聞記者に聞いてみた vol.2 2023年5月16日

連載「地方自治クライシス」のできるまで

統一地方選を控えた昨年末と今年3月、「地方自治クライシス」という連載企画がありました。選挙に関する連載としては、政治家だけでなく市井の人にフォーカスする読み物として斬新な切り口で、読み応えがありました。そもそもこの企画はどのように始まったのですか?読む

新聞記者に聞いてみた vol.1 2023年4月18日

紋別を目指した旅人、到着したのは?(2023年3月6日 朝日新聞北海道版道内面 19ページ)

北海道を訪れたある旅行者が、バスでオホーツクの「紋別ターミナル」を目指したが、たどり着いたのは十勝・広尾町の太平洋側読む

先頭へ戻る