北海道のパンやお菓子の店にはシュトレンがすっかり定着した。毎年楽しむ人が増えた証といってもいいだろう。そうした中、お客の幅が広がるにつれ、オリジナリティのあるシュトレンも登場している。
チョコレートをカカオ豆から製造する「ビーン・トゥ・バー」がブームだ。そんな「小さなチョコレート工場」を備えたケーキ店の一つ、札幌市中央区の「Bon Vivant(ボン・ヴィバン)」久保健寛さんは、普通のシュトレンの他、特別な「シュトーレンショコラ」を作る。伝統的なレシピではないが作りたてのチョコレートの芳香がすばらしい。現代はフランスなどでもチョコレートを使ったアレンジが行われている。
同じく札幌市中央区にある「スイートハーツナンポ」南保圭佐さんの「シュトーレン」はとてもモダンだ。角の立った直方体で、生地はもろくて軽いタイプ。ポイントはドライフルーツを漬け込む際に使う、赤ワインとフルーツの飲み物サングリア。北国と言うより、南欧の香りが華やかに広がる。寝かせるより早めに食べたい現代風の一品だ。