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>HOME >よみもの >「スウェーデンヒルズから始まった北欧との繋がり」(2019/9/17)

VOL16:スウェーデンヒルズから始まった北欧との繋がり

スウェーデンヒルズから始まった
北欧との繋がり

ソフィア・ヤンベリさん

スウェーデンと日本のかけ橋に ソフィア・ヤンベリさん

 当別町と北欧との関係は、日本とスウェーデンの協力により、日本にスウェーデン村を作る目的で、輸入住宅地・スウェーデンヒルズを同町に民間業者が開発したことに始まる。1983年に財団法人としてスウェーデン交流センターも設立されたのをきっかけに、その後当別町もスウェーデンのレクサンド市と姉妹提携を結ぶに至った。同財団はスウェーデンヒルズの中に事務所を持っている。8月まで1年間一般財団法人スウェーデン交流センターのスタッフとして勤務したソフィア・ヤンベリさんに話を聞いた。

 中学生の頃、日本のアニメが好きでした。高校のときの外国語の授業で日本語を選択し、それから日本語を本格的に学びました。ストックホルム大学に進学し、南山大学と上智大学に留学して人類学や日本語を勉強。現在、ストックホルム大学のアジア研究科の大学院生ですが、スウェーデン交流センターの職員の募集があることをたまたま聞き、応募して合格したので、休学して来日しました。

 ここは、スウェーデンよりスウェーデンらしいところがあります。祖父が、当別町の姉妹都市があるダーラナ地方出身です。そこにある古い家が、スウェーデンヒルズの家とそっくり。スウェーデンの伝統的な家が、新しい姿で当別で蘇ったような錯覚を受けることもありました。

 環境問題、日本人と自然の関係に興味があります。スウェーデンは緯度が高いので、地球温暖化の影響をいち早く受けます。平均気温の上昇も世界平均より高く、自分の行動が環境にどんな影響を与えるかに敏感な人が多い気がします。飛行機に乗らないという選択をする人も増えています。日本はゴミの分別には熱心ですが、自ら行動する人はあまり多くないように思います。

 日本で合計2年半暮らし、大きな影響を受けました。いったん帰国しますが、大学院を卒業したあとは、必ず2つの国のかけ橋となるような仕事に就きたいと思っています。

島田晶夫さ

スウェーデンのマイスター資格を持つ職人 島田晶夫さん

 スウェーデン交流センターには、ガラスと木工の工芸工房がある。

 木工房で、自らも家具や木象嵌の制作を続けるのが、島田晶夫さんだ。

 島田さんは苫小牧で生まれ、音威子府高校(現在のおといねっぷ美術工芸高校)で木工を学んだ後、富山県高岡市の短大(現富山大学芸術文化学部)で学ぶ。短大卒業後、スウェーデン交流センター木材工芸工房の研修員を経て、スウェーデンのカペラゴーデン手工芸学校で北欧の木工技術を学んだ。2007年に、日本人としては初めてスウェーデンの国家資格である家具マイスターを取得した職人だ。2019年、第66回日本伝統工芸展に象嵌作品の「樺結氷文木画飾箱」が入選した。島田さんに聞いた。

 小学生のころ、授業で作った木版画。そのインクの薄いところに現れた「木目」に魅せられたのが「木」という素材と向き合うきっかけになりました。迷わず、木工が学べる高校にを選び、卒業後はさらに木工芸が学べる短大へ進学しました。その後は海外の木工芸に触れたくて、バックパッカーとしてヨーロッパを回り、北欧の家具作りに出会いました。帰国後、今度は学校に行くために再びスウェーデンに渡り、本格的に学びました。

 2001年に帰国し、工房を構えました。スウェーデンのマイスター資格は学校を卒業するだけではだめで、実際に工房を運営し、作品を世に出し続けている期間が6年必要でした。

 最近はもっぱら木象嵌の作品の注文が多く、そちらを中心に作っています。私の象嵌は独学なのですが、素材の木はいっさい着色せず、自然のままの色です。意匠に合わせて、それに合う色の木を探して組み上げます。手間のかかる作業ですが、光の当たる角度によって、表面の輝きと色合いが違って見えるのが面白いと思っています。たまに、スウェーデンからの職人が来て一緒に制作することもありますが、基本はこの静かな環境で1人で日々、木と向き合っています。

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