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>HOME >「常設」に会いに行く >「芸術の森美術館」(2022/3/22)

VOL12:芸術の森美術館

國松明日香  《水の環》
國松明日香 《水の環》 ※実際の展示会場では作者、作品名の表示は無し

 札幌芸術の森美術館ではこの3月13日まで『きみのみかた みんなのみかた』と題した展覧会を開催していた。これは収蔵品の「みかた」について一つの視点を提示し、鑑賞の幅を広げようという企画である。

 展示はいくつかのテーマに沿って並べられ、作者名も書いていない。これは実は大変なことである。美術品には作者名が非常に重要であって、これまで私は作者名を除いた展示というものを見たことがない。もちろん作者が分からないことはあるが、その場合は「作者不詳」というプレートがつけられるのである。一つの展示丸ごと、しかも実際は分かっている作者の名前を示さないのは余程の判断だったのではないだろうか。

 そのように一端無名な存在として、作品そのものを見てほしいというのである。 

 また、いくつかの作品を素材にしたワークショップがあり、例えば「ポーズを真似てみよう」というコーナーでは椅子にうつぶせる裸婦に向かい合って、同じ様な椅子が置いてある。その椅子に座って同じような姿勢を真似しようとすると足の形が不思議で真似するのはとても難しいことが分かる。なぜ作者はモデルにこんなポーズをとらせたのだろう。

 幾何学的な形を組み合わせた作品を真似て、自分の作品を作ろうというコーナーには、その材料として毛糸や色紙が沢山用意されている。

 そして3歳から小学生の児童幼児を対象に「対話による鑑賞」の会を開き、希望者を募った所、10名ほどが希望して参加した。これは通常は温和しく鑑賞することを暗黙のうちに強いられ、あまり子供を歓迎しない傾向もある美術館としては意欲的な企画だ。

 更に「ナイトミュージアム オンライン」というのはコロナ以降ごく普通になったツールを用いた催しである。オンラインでつながった100名ほどとの双方向でのやり取りをしながらの展示品のリアルタイムの鑑賞/解説と、あらかじめ用意したバックヤードの録画とを取り混ぜたものであった。これには道内はもとより、他県からの参加者もあってなかなか盛況だった。

 今後このような例はますます増えていくことだろう。収蔵品の紹介と活用の新しい可能性がまた広がった。

芸術の森美術館
札幌市南区芸術の森2丁目75番地 TEL:011-591-0090
9:45~17:00(6~8月は17:30まで)美術館の入園は
閉園の30分前まで
4月29日~11月3日は無休、11月4日~4月28日は月曜日
※月曜日が祝日・振替休日の場合は翌平日
年末年始(12月29日~1月3日)
地下鉄南北線「真駒内駅」の中央バス2番乗り場から、【空沼線・滝野線】に乗車、「芸術の森入口」または「芸術の森センター」下車

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