道新文学賞受賞作家渾身の最新長編。医療技術が高度に発達した2089年のJABON国。高齢者は悪性腫瘍や認知症のリスク診断を受け、生存コストが社会貢献度を大きく上回る判定をされると、理想の安楽死「人生の成就」を勧告される。科学の粋を尽くしたこの制度は国民に歓喜をもって迎えられ、一大産業となっていた。77歳の紘一郎はそんな社会に抗い、仲間たちとその暗部に挑む。ジジイたちの奮闘が加速感をもって痛快に描かれる近未来小説。
書名 人生の成就
著者 澤田展人
出版社 中西出版
発行 2021年9月1日
価格 2420円(税込)
歴史的事実を各種文献資料から丁寧にすくい上げ積み重ねながら、解決のめどすらつかないこの問題の背景や本質を探る出色のルポルタージュ。企業や政府・自治体、GHQ、当事者団体の戦中戦後それぞれの動きや思惑を詳細に追いかけることで、「未払い金」「遺骨の返還」の経緯を明らかにしていく。背景にある労働力不足、繰り返される不作為や先送りが、技能実習生に代表される現代の「外国人労働者問題」と同根という指摘は、重要な視点だ。
書名 朝鮮人「徴用工」問題を解きほぐす
著者 木村嘉代子
出版社 寿郎社
発行 2021年8月31日
価格 2090円(税込)