昨年6月号Vol.9で紹介した『アイヌ民族 27の昔話』の続編。今回はシャクシャインや琴似又市など21人を取り上げ、それぞれの生涯や生き様をたどり、当時の歴史や現在につながる文化にも触れ、それらを「今を生きるアイヌ」という視点から描く。特筆すべきはその幅広さ。時間軸は16〜21世紀、地理的には北海道、樺太、千島、東北まで。男女比を等しくしチキリアシカイから知里幸恵、バチラー八重子、そして安東ウメ子まで取り上げている。
編著者 北原モコットゥナシ 絵 小笠原小夜 出版 北海道新聞社 発行 2022年8月27日 価格 1980円(税込)
平成30年刊行の増補改訂版である。Ⅰ部では札幌市10区の歴史や概況、代表的地名をコンパクトに紹介。Ⅱ部「多様な地名の成立と変化」は複雑な変遷を経た「地名『札幌』の歴史」の詳述を序論に置き、以下「先住民族アイヌの暮らしと地名」「札幌市の発展に伴う行政地名の成立と変遷」などテーマごとに深掘りする13章が続く。各分野の専門家の解説とコラムから札幌史の多面的理解ができるだろう。脚注も充実、各項の関連が分かる工夫が嬉しい。
編著者 関秀志 出版 亜璃西社 発行 2022年10月13日 価格 2200円(税込)