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52歳の羽生善治と20歳の藤井聡太の新旧レジェンド対決となった王将戦。第2局では羽生の金打ちが流れを変えたと評されている。常識外の妙手と言われる理由はよく分からないが、局面を振り返って語った羽生のコメントに納得した。
「ゆっくりしてると攻めが切れちゃうんで。筋のわるい手なんですけど、しょうがないかなと思って指してました」
先の先を読み抜いて計算尽くされた技かと思いきや、正反対の人間味あふれる言葉だった。その記事を読んで10年前のことを思い出した。
2013年5月30日、名古屋市のホテルで開かれた名人戦で羽生は森内俊之名人(当時)に敗れた。名古屋の報道センター長だった私は、その打ち上げに主催者側として呼ばれた。本来出席するはずだった東京の部長に急用ができたための代役だった。まったく知らない将棋の世界。緊張しながら席に着くと、隣が羽生さんだった。
どう声をかけていいのか分からない。初対面なのでとりあえず名刺を交換すると、羽生さんがぼそっと口にした。
「負けたのにすみません。本当は早く家に帰りたいんです」
それは相手の気持ちを解きほぐす魔法の言葉だった。羽生さんとは、当時すでに話題になっていたAIについて話をした。「AIの時代は必ずやってきます。でも、AIにも弱点、空白の場所が必ず存在します」
その予見通り、いまの将棋はAIが示す最善手と比べながら観戦するスタイルになっている。ただ羽生さんの人間力は、AIには絶対に真似できない。
朝日新聞北海道支社長 山崎靖
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