朝日IDをお持ちの方はこちらから
AFCのログインIDをお持ちの方(2024年7月31日までにAFCに入会された方)はこちらから
新規入会はこちらから(朝日IDの登録ページが開きます)
大惨事は澄み渡った青空の下で起きた。
2005年4月25日、神戸総局のデスクだった私は、ひっきりなしにかかってくる電話を受けながら大量の原稿と格闘していた。パソコン画面から目を離すことができなかったので、実際の空は見ていない。だが、現場の記者から送られてくる原稿の中に「青空」という文字があったことは覚えている。地上で起きている現実とのギャップが記者の記憶に刻みつけたのかも知れない。
それは事故に巻き込まれた人も同じだった。
大阪芸術大3年だった福田裕子さんは2時間目からの授業に出るために快速電車の1両目に乗っていた。レスキュー隊に、担架代わりにした座席に乗せられて車外に運び出された瞬間、青空が目に入った。まぶしくて暖かく、生きていることを実感した。
鎖骨骨折で入院し、1カ月後に復学した。ところが人の体を描こうとすると、事故車内で感じた人の感触がよみがえり、手が震えた。
107人が死亡したJR宝塚線脱線事故の負傷者とその家族は「空色の栞」を作り、4月にJR尼崎駅などで配布している。描かれているのは、あの日と同じ青空。その下で男の子が白い鳥に導かれるように歩いていたり、女の子と男の子が糸電話で話をしたり。毎年異なる絵柄の原画は、ようやく人の姿を描けるようになった福田さんが担当している。
「あの日を決して繰り返すことなく、心安らかに暮らせる社会を育んでいきたい」
何げなく以前に読んだ本をめくると「空色の栞」が出てくることがある。そのたびに、青空の裏に書かれたメッセージを読み返している。
朝日新聞 北海道支社長 山崎靖
「原発用地取得ゼネコン介在/関電の依頼を受け/発覚避け偽装契約」1999年10月11日の朝日新聞朝刊1面に大きな見出しの記事が載った読む
阪神・淡路大震災から29年が過ぎた。1月17日、大阪社会部の記者だった私は、ライフラインが止まった兵庫県西宮市のマンションに妻と1歳の長男を残し、ひとり自転車で飛び出した。読む
ジョニー・ディップ主演の映画「MINAMATA」で、真田広之演じる男が自らの体をチッソ水俣工場の鉄門扉に鎖で結びつけるシーンがある。読む
大惨事は澄み渡った青空の下で起きた。2005年4月25日、神戸総局のデスクだった私は、ひっきりなしにかかってくる電話を受けながら大量の原稿と格闘していた。読む
「被災者」という言葉は使いたくなかった。 東日本大震災の直後に仙台総局のデスクとして赴任し、現場から送られる同僚記者の原稿に目を通しながら、その表現に違和感を覚えていた。読む
北緯40度11分、東経147度50分。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から発射されたミサイルが日本の頭上を越えて着弾したと思われる地点は、雲でかすんだ水平線しか見えない太平洋のまっただ中だった読む
高校野球の季節がやってきた。北北海道大会が開催されている旭川市のスタルヒン球場は、球場の名前にもなった大投手スタルヒンの像が出迎えてくれる。読む
災害級の大雪に見舞われた札幌にもようやく春が訪れた。その厳しかった冬のまっただ中に、私たち新聞製作に携わる者にとって忘れることのできない出来事があった。読む