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>HOME >新 北海道の本棚 >「アイヌもやもや/利尻島から流れ流れて本屋になった」(2024/1/15)

VOL28:アイヌもやもや/利尻島から流れ流れて本屋になった

アイヌもやもや

アイヌもやもや

「共生」という前に読むべき本

和民族(和人)である私はアイヌとどう向き合えばよいのだろうか?そんなもやもやした思いが積もり積もって、この本を知った。読み進めると、アイヌと日本人(ではなく和民族)、マイノリティ(少数)とマジョリティ(多数)の関係性や存在の在り様が、薄皮をめくるように眼前に提示される。差別の根源がどこにあるのか、私はそれをどう考え、何に対してどう行動するべきかといったことが、田房の漫画と北原の解説で感覚的かつ論理立って理解できる。反省自戒を込めつつ読み返す。

著者 北原モコットゥナシ
漫画 田房永子
出版 303BOOKS
発行 2023年12月12日
価格 1760円(税込)


利尻島から流れ流れて本屋になった

読めばわかる面白さ。エッセイの名手誕生

エッセイの名手が現れた。とにかく面白い。物心ついてからの利尻島生活を下敷きに、札幌の高校時代、金沢の学生時代、アルバイトから書店員として働く現在、時折の帰省、それぞれのエピソードにその時々の思いを交錯させ、テンポよく進む語り口はページを繰る手を止めさせない。爆笑はないが読み手を微笑ませ、ちょっとホロっとさせる。その文章には独特のリズムと、人を飽きさせない巧みさがある。お世辞でも過大評価でもないのは、一話読んでいただければお分かりになるだろう。

著者 工藤志昇
出版 寿郎社
発行 2023年10月15日
価格 1870円(税込)

評者:鈴木幸夫 知床自然大学院大学設立財団理事・元朝日新聞文化財団事務局長

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