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1990年、私は函館の高校に赴任した。その同じ年に佐藤泰志は自殺した。インターネットもない時代、その第一報は地元の新聞からだったが、そのときまで彼の名前さえ知らなかった。
遠くなだれる灰光と/貨物列車のふるひのなかで/わたくしは湧きあがるかなしさを/きれぎれ青い神話に変へて/開拓紀念の楡の広場に/力いっぱい撒いたけれども/小鳥はそれを啄まなかった
淡路島の貧農の家に生まれた高田屋嘉兵衛は、生来の反骨心から島を出、兵庫の廻船問屋の船員を経て独立し、巨大な船を入手して蝦夷地と兵庫とを結ぶ商いを手がけるようになる。