1990年、私は函館の高校に赴任した。その同じ年に佐藤泰志は自殺した。インターネットもない時代、その第一報は地元の新聞からだったが、そのときまで彼の名前さえ知らなかった。
佐々木譲は夕張出身の直木賞作家。彼は多くの道警シリーズ作品を発表しているが、『雪に撃つ』もその中の一つ。主な舞台は雪まつり開催を翌日に控えた札幌である。
遠くなだれる灰光と/貨物列車のふるひのなかで/わたくしは湧きあがるかなしさを/きれぎれ青い神話に変へて/開拓紀念の楡の広場に/力いっぱい撒いたけれども/小鳥はそれを啄まなかった
帯広市在住の歌人・時田則雄は、身のまわりの物事にふれて体が感じとることを、きれいごとから遠く離れた言葉にしようとする。
松浦夏子は東京生まれの20歳。彼女は突然「修道院に入る」と宣言した。「我儘娘」と形容される彼女は美貌の持ち主ゆえ、言い寄る男たちが数多くいる
淡路島の貧農の家に生まれた高田屋嘉兵衛は、生来の反骨心から島を出、兵庫の廻船問屋の船員を経て独立し、巨大な船を入手して蝦夷地と兵庫とを結ぶ商いを手がけるようになる。
そのまっくろなしぶきをあげて/わたくしの胸をおどろかし/わたくしの上着をずたずたに裂き/すべてのはかないのぞみを洗ひ/それら巨大な波の壁や/沸きたつ瀝青と鉛のなかに/やりどころのないさびしさをとれ
北方領土の架空の孤島が舞台のフィクション。時は2022年、島にはレアアースの漂砂鉱床があり、採掘、製造するために設立された、日本、ロシア、中国の合弁会社の日本人が事件に巻き込まれる。