アイヌ民族として暮らす二人による「アイヌの見方で、アイヌのことを伝える」ことをめざした昔話集。編著者は気鋭の文化人類学者で、アイヌ文化の内的・地域的な多様性と周辺諸民族との共通性に着眼しながら、そこに通底する豊かさを説く。その姿勢は、子どもたちを対象として作られた本書にも一貫している。分かりやすく読みやすく、挿絵も素敵。アイヌ文化やその口承文芸への基本的理解が深まる良書で、大人にも手に取ってもらいたい一冊だ。
編著者 北原モコットゥナㇱ 絵 小笠原小夜 出版社 北海道新聞社 発行 2021年9月18日 価格 1980円(税込)
今年は札幌が市制を施行して100周年。12万7千人の札幌区が、197万人の大都市となった。その発展の歴史、人々の暮らしを600点の写真でたどる1冊である。1点1点の写真から街の歴史が浮かび上がり、飽きることがない。監修者は北海道の地域史に造詣が深い民俗学者で、北星学園大学教授も務めた。名シリーズ「さっぽろ文庫」にも数多くの章を執筆している。『写真アルバム 札幌市の昭和』(2012年、いき出版)と写真の重複はないそうだ。
監修者 阿部敏夫 出版社 いき出版 発行 2022年2月26日 価格 9990円(税込)