「今年は雪が少ないですね」。最近、人と会うとこんな言葉で会話が始まることが多い。昨年の札幌圏の「大雪」を経験したからだろう。道路脇に壁のように連なる雪山、車の運転もままならないでこぼこの路面、乱れる交通網……。札幌に赴任して初めて経験した冬は、予想以上にニュースの連続だった。
しかし、昨冬はどうやら「大雪」ではなかったらしい。昨年11月にそんな記事を書いた。日本雪氷学会北海道支部による調査・分析結果を報じたものだ。それによると、昨冬の降雪量は平年並みだったが、 ① ドカ雪の回数 ② 例年雪が少ない地域で多く降った ③ 除雪作業後や帰宅時間帯での降雪――などの要因が重なり、市内で除雪が追いつかないほどの状況になったという。
この記事、昨秋に紙面と「朝日新聞デジタル」に掲載した時は残念ながら反響は少なかった。しかし、今年になってデジタル版で記事が多く読まれるようになった。冬が深まり、身近な雪を実感してくるにつれ、昨冬のことに思いをはせる人が増えたのだろう。記事には「読まれるタイミング」があることを改めて知らされた。
さて、今年は道路の除雪も比較的スムーズで、これまでのところ市民に大きな混乱は起きていない。除雪の堆積場を増やしたり、体制を拡充したりと、苦情が相次いだ昨冬の反省を踏まえた札幌市の取り組みが奏功したように見える。近く行われる札幌市長選でも、各候補者には、あるべき市の除雪体制についてぜひ主張を戦わせてほしい。
札幌市によると、札幌管区気象台(札幌市中央区)における今冬の累計降雪量は2月22日現在で343センチ。昨冬の424センチ、平年値の362センチと比べると「少雪」のようだ。しかし、どんな要因で「大雪」となるかわからない。このまま少雪が続き、災害もなく春が来ることを願うばかりだ。
朝日新聞 北海道支社 記者 中野龍三
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