5月1日、札幌ドームでラグビー早明戦があった。北海道ラグビーフットボール協会が招待し、北海道では9年ぶりとなった対決にまつわる話を紹介したい。
この試合で、早稲田大のある道産子が1軍デビューを果たした。函館ラ・サール高出身の平山貴喜選手(4年)。スクラムの最前列、右プロップで後半に出ると、会場から大きな拍手が送られた。177センチ、110キロ。持ち味のスクラムの強さ、激しいタックルで見せ場をつくった。
明治大に19-26で競り負けたが、平山選手は満面の笑みでデビュー戦を振り返った。
聞けば、彼は高校卒業後、「早稲田でラグビーをしたい」と札幌市で1年間の浪人生活を経て入学。3年夏まではEチーム、すなわち5軍だった。秋に2軍のBチームに上がり、今春、初のAチームへ。
同じポジションの2枠を8人前後で争う狭き門をくぐって「アカクロ」を着た。1軍の限られた公式戦でしか着用が許されない重みのあるジャージーに、「昨日の夜は緊張しすぎて吐きそうでした。やっとスタートラインに立てた。背番号3で試合に出て、日本一を取りたい」。地元デビューの名誉を励みに、秋から冬に向けた誓いを立てた。
この試合の実現に奔走した人物も書き添えたい。明大ラグビー部の元監督、丹羽政彦さん。苫前町出身で、明大のスローガン『前へ』で知られる故・北島忠治監督が羽幌高の丹羽さんを見いだした。1990年度の全日本大学選手権決勝でウィングとして出場。早大を16-13で下した試合は、伝説の一戦として語り継がれる。
丹羽さんは2019年ワールドカップの札幌開催にかかわり、近頃まで水面下で日本代表戦も誘致していた。「コロナでしぼんだあのラグビーの熱気を、早明戦で取り戻したいんだ」と語っていた。両校の意地がぶつかった、ロスタイムの決着は、1万人近い観客をきっと満足させただろう。
朝日新聞北海道報道センター記者
能田英二
AFCは朝日ID(登録無料)でご利用いただくことができます。
AFCは朝日ID(登録無料)でご利用いただくことができます。
※朝日IDとは・・・ 「朝日ID」は、朝日新聞社が提供するサービスを便利に使うことができるオンライン共通IDです。ご登録は無料です。
2024年3月までにAFCに入会された方は、こちらからログインできます。
豊頃町を昨年12月中旬に初めて訪れた。目的は、町で唯一のスーパーが閉店したのちに、町の要請を受けてセイコーマートが出店したことを取材するためだ。読む
阿寒湖(釧路市)の大きなマリモは自然の神秘が生み出した植物だ。長さ3~4センチの糸状の藻がからまりあい、波の力で回転して直径20センチを超えるまで成長する。読む
新聞記者になって18年経つが、ここまで読者と密にやり取りした経験はなかった。紙面購読者を対象に開催している「朝日新聞デジタル体験会」に11月25日、記者として初めて登壇した時のことだ。読む
野生のヒグマをみたい。とはいえ、「ヒグマと会わないために」と書いてる手前、筋の通らない行動はできない。 読む
発生から9月で5年になった北海道胆振東部地震で、山の大規模表層崩壊があった厚真町吉野地区に通って、農業を営む早坂信一さん(58)を取材した。読む
「え? 飛行機を使うの?」。帯広在住の私。昨冬、網走に流氷観光に行こうと、乗り換え案内サイトで公共交通機関のルート検索をして驚いた。読む
夏の甲子園は慶応(神奈川)の優勝で幕を閉じました。今大会、北北海道の担当を務めました。読む
今年の春に北海道報道センターに着任しました。前任は東京本社のコンテンツ編成本部。読む
ヒグマの目撃情報が相次ぐこの時期、決まって思い出すのが、5年前、本島から20キロ以上を泳ぎ利尻島に渡ったあの若い雄のヒグマのことだ。当時は利尻島を担当する稚内支局長だった。読む
2002年、当時の北海道報道部で取材指揮や紙面編集の責任を負うデスク(次長)5人の末席に連なっていた私は夏の高校野球を担当した。読む
同郷の歌人石川啄木ゆかりの函館に赴任して、真っ先に行ってみたかった場所がある。立待岬にある一家の墓でも、代用教員を務めた小学校でもない。「乞食(こじき)」の供養塔だ。読む
ふとした街の風景を見落としていないか。運転に集中しなければいけない車や、トンネルを走り続ける地下鉄を使っていると、時折、そんなふうに思う。読む
夏の甲子園で、宮城県の仙台育英高校が優勝してから約2カ月。北海道では、春の甲子園出場を目指す20校が戦う、秋季全道大会が終わりました。読む
札幌勤務で単身赴任となって半年になる。たまたま北大に通っていた長男の近くに住もうと、大学からほど近いところに部屋を借りた。読む
5月1日、札幌ドームでラグビー早明戦があった。北海道ラグビーフットボール協会が招待し、北海道では9年ぶりとなった対決にまつわる話を紹介したい。読む
記者の原稿をチェックするデスクという仕事をしているので、どうしても細かな言葉の使い方が気になるものです。読む
やっとだ。札幌市内に残る雪はどんどん少なくなり、街に明るさが戻ってきた。赴任して3月末でちょうど2年。今年こそ、マスクを外して札幌の街中を散策したい。読む