岩内、札幌、東京で時代の最先端を生き、銀座を闊歩した夭逝の詩人、沙良峰夫。西条八十、稲垣足穂、サトーハチローらと交わり、浅草オペラに通い歌詞を原語で口ずさみ、芸術を論じたその生涯や作品群は、埋もれ失われたものも多い。2021年生誕100年を機に、著者がその人物像に迫り、その生涯をたどり、関係者の文章を集成し、沙良の詩や評論、エッセイなどの作品群を校訂後、創作年順に収録したのが本書である。作品の行間から大正ロマンが香り立つ。
著者 柴橋伴夫 出版社 藤田印刷 エクセレントブックス 発行 2021年10月2日 価格 3080円(税込)
「北海道」。現在、当たり前に口ずさむその名前を、アイヌの人々はどう思っているのだろうか。その150年という歴史を、どう捉えているのだろうか。文章を寄せた33人の人々の境遇や遍歴は様々で、その語る言葉や口調、価値観や現状の捉え方も多様だ。ただ、共通しているのは、アイヌは「滅びゆく民」ではなく、今、アイヌとして生きることの意味や未来について、淡々と、或いは力強く、語っている点だ。それが未来への一筋の光となって輝いている。
編著者 石原真衣 出版社 北海道大学出版会 発行 2021年9月25日 価格 1760円(税込)
Vol.23
ワイルドライフマネジメント/ウアイヌコロ コタン アカラ ウポポイのことばと歴史
著者は長年にわたりヒグマやエゾシカ研究に携わり、「北海道エゾシカ管理計画」策定や日本学術会議による環境省への提言「人口縮…