津軽が南部から独立して以来続く両藩の確執。1821年南部藩士による津軽藩主暗殺未遂事件でピークに達し、その残影は現代も残る。歌舞伎の題材にもなったこの事件。蝦夷地を窺い南下を目論むロシアと幕府、その警護を担わされる両藩、復権を画策する松前藩の動きを克明に追い、事件の背景や動機を明らかにしていく歴史探訪だ。田沼意次、高田屋嘉兵衛、間宮林蔵、ゴローニンなど多彩な脇役陣が興味を倍加し、北海道にまつわる興味深いエピソードも満載。
著者 下斗米哲明
出版 寿郎社
発行 2022年11月1日
価格 2530円(税込)
1972年2月8日、2人の東京在住女性が「ウタリたちよ、手をつなごう」と朝日新聞紙上で声を上げた。今なお続く差別。それがもっと顕著だった時代に自らの住所まで公開し、「一緒に語り合おう」と呼びかけたのが、当時38歳の著者と23歳の浦川美登子さんだ。90歳を超えた今も、詩や古布絵、講演などを通じてアイヌの持つ力や価値を語り、権利回復を励まし続ける著者。その思いを綴り、講演や対談を収録した最新刊だ。言葉は、確実に和人にも届いている。
著者 宇梶静江
出版 藤原書店
発行 2022年11月30日
価格 2420円(税込)